彼女は木陰にいた
ジプシーの少女は彼をじっと見つめていた
その黒檀の目はまるで海のように深く
そして優しいまなざしをしていた

彼が彼女のもとに近づくと
伏し目がちにその頬を赤らめ
そっとささやきかけた
『今夜待ち合わせしましょう
　できれば小川のそばで
　今の約束をどうか忘れないで』

ああ、ファニータ・エレナ　ファニータ・エレナ
おれはしがないよそ者さ
ファニータ・エレナ　ファニータ・エレナ
おれは一体どうすればいいんだろう
きみがおれのことをすっかり変えてしまったんだ
きみと人生を歩んでいけるんならどんなにいいか
おれは気づいちまったんだ
きみの目に宿る愛というやつに

月が輝く夜の小川
もう彼女なしでは生きてゆけぬと彼は思った
こんなにも彼女を愛おしく想うなんて生涯はじめてのことだった
そうして彼は小川に行くことにした
どうか誰にも見つからぬようにと願いながら

これまでのひもじさに
孤独も苦しみも忘れていた
そんな少年が、燃えさかるような愛に包まれて大人になった
明け方の光が射しこんでくるころ
彼は彼女をずっと見つめていた

ああ、ファニータ・エレナ　ファニータ・エレナ
おれはしがないよそ者さ
ファニータ・エレナ　ファニータ・エレナ
おれは一体どうすればいいんだろう
きみがおれのことをすっかり変えてしまったんだ
きみと人生を歩んでいけるんならどんなにいいか
おれは気づいちまったんだ
きみの目に宿る愛というやつに

ファニータ・エレナ
この先何があっても
おれはきみを裏切るものか
きみの愛がなきゃ
おれは死人も同じなんだから



（ドイツ語歌詞をカタカナに起こしたもの）

ズィ　シュタント　ドルト　イム　シャッテン　デァ　ボイメ
ディ　ツィゴイネリン　シャウテ　イーン　アン
イーレ　アウゲン　ディ　ヴァーレン　ゾ　ドゥンケル　ウント　ティーフ　ヴィ　アイン　ゼー
ウント　ヌァ　エァ　ハット　ディ　ツェァトリヒカイト　イン　ディーゼン　アウゲン　ゲゼーン

ウント　アルス　エァ　ダン　アン　イァ　フォァバイ　ギング
ゼンクテ　ズィ　ヌァ　エァレーテント　デン　ブリック
ドホ　エァヘァテ　ズィ　フリュステァン
ホイト　アーベント　ダー　ヴァルト　イヒ　アウフ　ディヒ
トリフ　ミヒ　ウンテン　アム　フルス　ヴェン　ドゥ　カンスト
ドホ　フェァラーテ　ミヒ　ニヒト

オ、フワニータ　エレーナ　フワニータ　エレーナ
イヒ　ビン　ドホ　アイン　フレムダー　フュァ　ディヒ
フワニータ　エレーナ　フワニータ　エレーナ
イヒ　ケネ　ミヒ　ゼルバー　ノホ　ニヒト
ドゥ　ハスト　ミヒ　フェァエンダート
イヒ　ヴュルデ　ゼァ　ゲルン　マイネン　ヴェク　ミット　ディァ　ゲーン
デン　イヒ　ハープ　ディヒ　ゲフンデン
ウント　イン　ダイネン　アウゲン　ディ　リーベ　ゲゼーン

ウント　ナハツ　アルス　デァ　モント　アウフ　デン　フルス　シーン
ダー　ヒールト　エァ　エス　ニヒト　アウス　オーネ　ズィ
デン　ツム　エァステン　マル　イン　ザイネム　レーベン　ダー　ハット　エァ　ゲリープト
ウント　ダー　ギング　エァ　ツム　フルス
ウント　エァ　ホフテ　ダス　ニーマント　イーン　ズィート

ウント　イン　ザイネン　アーメン　フェァガース　エァ
ザイネ　アインザムカイト　ウント　ザイネン　シュメァツ
ウント　デァ　ユンゲ　エァ　ヴルデ　イム　フォイアー　デァ　リーベ　ツム　マン
ウント　イム　リヒト　デス　エァヴァッヘンデン　モァゲンス　ザー　エァ　ズィ　ラング　アン

オ、フワニータ　エレーナ　フワニータ　エレーナ
イヒ　ビン　ドホ　アイン　フレムダー　フュァ　ディヒ
フワニータ　エレーナ　フワニータ　エレーナ
イヒ　ケネ　ミヒ　ゼルバー　ノホ　ニヒト
ドゥ　ハスト　ミヒ　フェァエンダート
イヒ　ヴュルデ　ゼァ　ゲルン　マイネン　ヴェク　ミット　ディァ　ゲーン
デン　イヒ　ハープ　ディヒ　ゲフンデン
ウント　イン　ダイネン　アウゲン　ディ　リーベ　ゲゼーン

フワニータ　エレーナ
ウント　ヴァス　アウホ　ゲシェーン　ヴィァト
イヒ　ブライベ　ダイン　マン
ヴァイル　イヒ　オーネ　ディ　リーベ
ディ　リーベ　フォン　ディァ
ニヒト　メァ　レーベン　カン



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