ハンフリーさん、護国卿(Lord Protector)になる

護国卿といえばクロムウェルだけど、初代護国卿といえばグロースター公ハンフリー。
ヘンリー4世の息子でヘンリー5世の弟でヘンリー6世の叔父である彼がどうやって護国卿となったのか、
その裏には議会とハンフリーの間をめぐる恐ろしいグダグダが隠されていたのだった。


1422年、イングランド国王で「フランス王位継承者」であるヘンリー5世が赤痢により世を去った。
生前にしたためていた遺書には「フランス国内のイングランド領はブルゴーニュ公に、イングランド本国は
グロースター公ハンフリーに、ノルマンディー総督はベドフォード公ジョンに任せる」とあった。


( ・∀・)「ブルゴーニュ公。われらが兄の最期の願い、どうか聞き届けてくださいよ」

(`・ω・´ )「は?なんで俺が縁もゆかりもないアンリ・ド・ランカストルさんの言うことを聞かなきゃいけないわけ?
      ベドフォード公、あんたはどうせノルマンディーを看なくちゃいけないんでしょ。そのついでにフランス統治すればいいじゃないですか」

(;・∀・)「いや、ぜひにブルゴーニュ公をフランス摂政にという兄の意向でして…」

(`・ω・´ )「だって俺、フランドル伯ですよ?毎回フランドルからパリに来いと、あるいはパリに単身赴任しろということですか。
      そうなったとして交通費はどうなるんです。自腹ですか?嫌ですよそんなの。
      ジャンさんがノルマンディーからパリにいらしたほうがずっと安上がりでしょ」

(;・∀・)(何故かこちらの呼び方が馴れ馴れしくなっている)

(;・∀・)「あのですね、フィリップさん…」

(`・ω・´ )「アングレーの田舎者が馴れ馴れしく俺の名を呼ぶんじゃねえ」

(;・∀・)そ(格下に見られている!!)

(`・ω・´ )「どう言われましてもそのお話はお受けできませんな。ジャンさん、フランスの領土はあんた1人でなんとかしてください」


ブルゴーニュ公フィリップ善良公はフランス摂政を辞退。これによりヘンリー5世の3番目の弟ベドフォード公ジョンがノルマンディー総督・
フランス摂政を兼任することになった。一方のイングランド統治、要するにイングランド摂政権はヘンリー5世の末弟であるグロースター公
ハンフリーに任された。こうして二人の弟が力を合わせてみんなの幸せを招きnフランスとイングランドを統治し、ヘンリー5世の遺児の
イングランド国王ヘンリー6世の摂政をすることになった、はずだった。


(゚」゚)「亡き兄上のご意向により~、僕がこのイングランドの統治をすることになった~」

( ´_ゝ`)「ベドフォード公がノルマンディー総督・フランス摂政というのはまぁいい。だがお前ごときがイングランドを統治だと?笑わせてくれる」

(#゚」゚)「む、叔父上。なにか文句でも~?これは兄上の遺志です~」

( ´_ゝ`)「ヘンリー5世陛下の遺志と言うのなら、その遺書とやらを見せてもらおう」

(゚」゚)「遺書ならポケットにちゃ~んと」

(;゚」゚)

( ´,_ゝ`)「おや?ひょっとして落っことしたとかかね?」

(;゚」゚)「そっ、そんなはずは…確かに入れておいたのに~」


※ヘンリー5世の遺書は後日(1978年)イートン校で見つかったそうです。


( ´_ゝ`)「陛下の遺書がないのでは、グロースター公が摂政に就任するなど認められん。なぁ皆?」

( ^ω^)^ω^)^ω^)「グロースター公のイングランド摂政はんた~い!」


グロースター公の叔父のウィンチェスター司教ヘンリー・ボーフォートと議会の貴族は口を揃えて異議を唱えた。


(;゚」゚)「待て待て~い!国王陛下はまだ1歳にもなってないんだぞ~。いま統治する者がいなかったらこの国はどうなるのだ~!!」

( ´_ゝ`)「む、それもそうか…じゃあ仕方ない。期限付きで摂政権を認めてやろう」

( ^ω^)^ω^)^ω^)「ったく、しょうがねーお。ベドフォード公が赴任してる時と国王陛下が未成年のうちに限って摂政権をやるお」

(;゚」゚)「兄上がフランスに居る間と国王陛下が成人なさるまでの間、かぁ…」

( ´,_ゝ`)「『臨時摂政』というんじゃ味気ないから『護国卿』とでも名付けておくか。ほ~れハンフリー坊や、強そうでカッコいいの好きだったろ?」

(#゚」゚)「なめとんのか私生児のクソ坊主!」


そういうわけで、グロースター公に権力を持たせたくなかった議会の大いなる妥協によって『護国卿』という職位が新設されたのだった。



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