Karl von Burgund 第2幕・1場

●1場の登場人物●

シャリニー

アンベルクール

ユゴネー

ラーフェシュタイン






シャリニー
「ああブルゴーニュよ、ああブラバンの国々よ!
 ああ、大海に寄せるさざ波の閂たるフランドルとホラントよ!
 我らの幸福に、なんたる衝撃が襲い掛かってきたことか。
 前途ある若人たちはその屍を野に晒している。ああ、なんたる不幸か!
 よりによって私がその不幸の前触れを見届けねばならぬとは。
 ブルゴーニュの戦士たちが全滅したのを、私には隠し通すことなぞできぬ」


ユゴネー
「悲しい、なんと悲しい報せだ!
 悲しみに嘆く声が、涙するうめき声が聴こえてくるようだ!ああ、なんということだろう」


シャリニー
「もはや我らには、いかなる奇跡も希望の光も望めない」


アンベルクール
「このような耐え難い喪失を、公国始まって以来の最悪の報せを我らが受け取ることになるとは…」


シャリニー
「私はその悲しみに嘆く声を確かに聴いたし、この目で見たのだぞ。
 グランソンで、ムルテンで、恐慌の中で殺戮されたブルゴーニュの戦士たちが血に塗れて斃れていったのを」


ラーフェシュタイン
「天幕も火器も武具も、すべて奴らにむざむざと奪われたというのですか?
 すべてジュラ山脈の向こうまで、奴らを征服せんと試みたばかりに…」


シャリニー
「ムルテンの丘と大地のそこかしこに、そして湖のほとりに、殺戮を受けてその身を横たえた戦士たちが
 沈んでいるのだ」


アンベルクール
「ああ、戦士たちは苦しみながら溺れ死んだに違いあるまい。
 碧色をした湖は戦士たちの血で紅く染まったのだろうか」


シャリニー
「火砲を用いて轟音を轟かせ、砲弾を雨と浴びせかけたが、それも何の役にも立たなかった!
 我らの子孫たちがベルンの名を聞いたらさぞ悲しむことだろうよ」


アンベルクール
「いえ、その悲しみとて貴公の名声に比べれば遠く及ばぬでしょう」


シャリニー
「ふん、ベルンの我らに与えた苦しみは何世紀にも渡って語り草になるだろう。
 『ブルゴーニュ中の父親から子を奪い、ブルゴーニュ中の妻たちを寡婦にした』とな!」


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