Karl von Burgund 第2幕・3場


●3場の登場人物●

マリー

アンベルクール

ユゴネー

ラーフェシュタイン






マリー
「不幸なお父様!そんなにも強大な軍隊に壊滅させられたなんて!
 夜に見た夢のことがわたくしの表情にはっきりと表れてきたみたい。
 
 お父様が不運から逃れ、手遅れにならないようにするための祈りと誓いを、
 そして大地を涙で濡らすことをわたくしはけしてやめません。

 かわいそうなお父様にはお怒りを鎮められるようにお祈りを捧げましょう。
 これ以上の不運がどうかわたくしたちのもとにもたらされませぬように。

 あなたがた、ずっと昔から仕えてきて主君に固き忠誠を誓ったなくてはならぬ家臣たち。
 いまこの旧き国々はその愛国心を失っています。
 ネーデルラント諸邦の愛国心を再び取り戻し、忠誠とともにあるよう導いてください。」


ラーフェシュタイン
「わたしたちの言葉をその証としてお受け取り下さい、姫君。
 全力をもってこれ以上の不幸が訪れぬようにいたします。
 
 公爵閣下におかれましては、一たびは打ち負かされましたがまだ立ち直るだけの強力な手立てを
 お持ちでございます。名誉のために武器をとり戦うことも、失った財さえもこの地に戻れば再び
 なにもかも元どおりになり、解決策を見出すこともできましょう。
 そして財をもって兵を集め、敵を三たびも震え上がらせることもできましょう。」


ユゴネー
「公爵閣下がそうしたいとお望みならば、荒ぶる勇を穏やかにして安息に憩うこともできます。」


マリー
「それがわたくしたちの一番の願いだわ。
 ああ、天がわたくしたちをあわれんで下さいますように!

 天使たちの聖歌に囲まれて神のみもとにいらっしゃる善良なるフィリップおじい様、
 あなたの息子の不運をどうかお聞き届け下さい。
 そして天の平穏でもってお父様の不安を除き、あわれみ、そしてお執り成し下さい。

 いとも敬虔な気高き人よ、わたくしたちを元気づけ、寛大なみ心をもってわたくしたちの前に現れ、
 この世で言葉を交わすことをお許しください。ただお言葉を下さるだけでよいのです。
 嘆きの道を改めることの出来るお人、権勢欲に捉われた者を持たず、地上の戦いを裁く善き公爵よ。
 国々の守り人、平和の協力者と呼ばれし人よ。」


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