ツャ口レ伯シャルル、メランコリックになる

こちらはフラソス王国の隣に位置するブノレゴーニュ公国。
いと気高きブノレゴーニュ公の嫡子であり、ブノレゴーニュ公国の次期当主として育てられたツャ口レ伯ツャルルは
ちょっとメランコリックな気分になっていた。

( ゚∀゚)「………ウツダ…」

悲しいかな、顔文字のせいでちっとも悩んでいるように見えない。

(#゚∀゚)「シツレイナ、オレハ サッキカラ メチャクチャ シンケンニ ナヤンデルンダゾ!!」

つーは半角で喋ることが多いのですが、半角だとセリフが分かりにくいので台詞を全角に変えましょう。

(*゚∀゚)「あ、全角になった!」


(以下ツャ口レ伯ツャルルのモノローグ)

……なんだろう、この不安は。
なんだか、この世界に追い詰められているような、息苦しさを感じさせる不愉快な不安を感じる。
なにがオレをここまで不安にさせるんだろう。
…やっぱり、結婚とやらのせいなんだろうか?
もう何ヶ月も前から、「結婚相手」とかいうブノレボソ侯女のところから使者が沢山やってきている。
「彼女」はオレの「妻」とやらになる「女性」らしい。

えーと、そもそも「女性」ってなんだ?

オレが今まで生きてきた中で知っている人種は「父上」「母上」「召使い」「その他の烏合の衆」だ。
そういえば幼い頃に母上のような姿をした、なんだかおとなしくて儚げなイキモノを見たような気が
するが…ひょっとしてあれが「女性」というイキモノだったのだろうか。
ということは、ブノレボソ侯女という「女性」が「結婚相手」としてオレの「妻」になるということなのか?
ナンカ アタマガ コンラン シテキタ。ホカノコトナラ コンナニ ナヤマナイノニナア…
ダメダ、コノママ イクト オレノ アタマガ フットー シテシマウ…

(ツャ口レ伯ツャルルのモノローグここまで)


ツャルルは憔悴しきった表情をして、中庭から自室へ続く通路をあっちへフラフラこっちへフラフラさまよっている。

( ´・ω・`)「おおツャルル、そんな情けない姿を晒しおって、一体何があったのだ」

そこに現れた彼の父親・いと気高きブノレゴーニュ公。

(゚∀゚#)「オレが落ち込んでいるときにそういう気分を逆なでするようなことを言うとは…」

ツャルルは怒りに身を震わせている。

( ´・ω・`)「もちろんわざとだ。どうやら言葉のトゲに気づく余裕はあるようだな。
      悩んでおるようだが、ひょっとして結婚のことで心配でもあるのか?」
(゚∀゚#)「ひょっとしなくてもそうに決まってるだろうがクソオヤジ」
(#´・ω・`)「貴様…ぶち殺すぞ……」

罵りの言葉に我慢ならぬ様子のブノレゴーニュ公は、腰から下げた短剣の柄に手をかけた。

(゚∀゚;)「凶器を手に取る前に、最愛の息子の悩みくらいは聞けよクソオヤジ」
( ´・ω・`)「結婚についての悩みだろう?周りから作法などは聞いているはずじゃないのか」
(゚∀゚;)「いや、聞いてはいるんだけどさ、オレが分からないのは『女性』というイキモノについてなんだ」
(;´゚ω゚`)・;・:「ブッ!!!まさかそんな根本的なところからの悩みとは思わなんだ……お前は本当にわしの息子か?」
(T∀T )「うるせー馬鹿!!女漁りに命賭けてるオヤジの価値観がおかしいんだよ!」

ブノレゴーニュ公はやれやれと言いたげにため息をつき、言葉を慎重に選びつつ話しはじめた。

( ;´・ω・`)「……まあかいつまんで説明するとだな。女性というのは細くてやわらかくて儚いイキモノの総称だ」
(゚∀゚* )「フーン」
( ´・ω・`)「きっとお前もブノレボソ侯女に会ったら、『一生守ってやらなくちゃいけない』と直感的に思うはずだ」
(゚∀゚*)「そういうもんなのか?」
( ´・ω・`)「まあ例外もあるかもしれんが、総合的にはそういうものだ」
(゚∀゚*)「なるほど…なんとなくわかったぞ」
( ´・ω・`)「じゃあツャルル、覚悟は出来ているな?」

と言いざま凶器を手に取り異様な雰囲気を漂わせてくるブノレゴーニュ公。

(゚∀゚;)「…………エ?ちょ、マジだったの?        『ぶち殺す』って、冗談じゃ………」
(#´・ω・`)「冗談だと思ったか?お前は一体何年わしの息子をやっているんだ」

父の後ろに、なにやら人の形をした異様なオーラのようなものが見えた。

(((((TДT;)))))))「……ッ…イ、イヤ…チョット…ミ、ミノガシテ………」
(#´・ω・`)「アリアリアリアリアリアリ(中略)アリアリアリアリアリアリーヴェデルチ!」
(TДT;)「ギニャアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!」

そのオーラ状の人のようなものは千のパンチをすべてツャルルのボディにクリーンヒットさせたっ!
勢いを受け止めきれずツャルルは為すがままになるよりほかなかった。


千のパンチ
             殴りつける

                       あなたがそうと望むなら
                       花にも鳥にも娘にも     この姿を変えたのに


      例えば  
              千の
                  死体にも


なんかどっかで見たようなモノローグがツャルルの脳裏を一瞬かすめていった。
そして千の殴打を受け止めボロ雑巾のようになったツャルルは、力なく床にくず折れたのだった。
常ならぬ物音を聞いて慌ててやってきた召使いが医者を呼んで手厚い看護を行い、ツャルルはなんとか意識を取り戻した。

(*゚∀゚)「クソオヤジめ、容赦なくフルボッコしやがって…」
(*゚∀゚)(でも、女性っていうイキモノのことがちょっとわかったぞ。細くて、やわらかくて、守ってやりたくなる、か…
     なんだか楽しみになってきたぞ!オレの結婚相手は一体どんな女性なんだろう?)
(*゚∀゚)「たしかブノレボソ侯女の肖像画が届いてるとか、昨日誰かが言ってたな」

ということで、ツャルルは届いた肖像画を預かっていた母親のところに足を運んだ。

(*゚∀゚)「母上~、肖像画見せてくんない?」
( ・ω・)「ああ、ブノレボソ侯女の肖像画ね?はいはい、これよ」

それを渡された瞬間、彼の眼は描かれた女性に釘付けとなった!
なるほど、父親の言ったとおりそこには細くて、やわらかそうで、いかにも守ってやりたくなるような…
まさしくツャルルの頭の中で思い浮かべていたとおりの美しい女性がいたのである。

(*゚∀゚*)「…………」
(・ω・;)「…ツャルルちゃん?」
(*゚Д゚*)「テッ…テラモエス!!」
Σ(゜ω゚;)「?!」

「萌え」。それはツャ口レ伯ツャルルの20年と少しの人生の中で初めて湧きあがった感情だった…

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