バンケ・ド・フェザン

(´・ω・`)「フンフンフ~ン♪」
(*゚∀゚)「父上、鼻歌なんてしちゃってやけに上機嫌だな」
(´・ω・` )「おお、ツャルル。お前にちと知らせることがあってな…」
(*゚∀゚)「へ?」
(´・ω・` )「来月、十字軍結成記念パーティーをやる」
(*゚∀゚)「ああ!十字軍ね」

ツャルルだって曲がりなりにも騎士である。
十字軍の旗を持ち、イスラエノレを取り戻すという栄光に対して、彼もまた夢を抱いていた。

(*゚∀゚)「で、どんなパーティーになるの?」
(´・ω・` )「貴族を集めて、それぞれ代表となった方々とともに誓いを行い…
        そしてその誓いを破らぬという約束をするために、雉を前にして更に神に誓いを行う」
(*゚∀゚)「誓い?雉に?…ああ、『絶対やるぞー!』っていう意気込みと『雉』を掛けたわけだな」

(※『雉(フェザン)』、『事をなすもの(フザン)』という二つの単語の響きが似ているからだそうだ)

(´・ω・` )「うむ、そのとおり。この雉はパーティーの主役となるものだ。ブノレゴーニュの流儀に則り、思い切りハデに飾りつける!」
(*゚∀゚)∩「おー!」
(*゚∀゚)「…で、父上。誓いの雉は非常にいい案だと思うけど、他はどうするつもりなの?」
(´・ω・` )「うむ、それについては考えてある!まずアントルメとして…みんなが食事をしている間、道化などのショーをやる予定だ」
(*゚∀゚)「食事中だろ?舞台はどうするんだ」
(´・ω・` )「わしもそのことについて考え抜いた。結果として…」
(*゚∀゚)「結果として?」
(´・ω・` )「いちいち食卓の真ん中に舞台を作るのは面倒だしナンセンスだ。いっそ食べ物の中にでも楽団や劇団を潜ませようかの」

(  Д )                 ゚  。

(´・ω・`; )「…おい、まさかみんなの食卓に上る皿に乗った熱々の食事の中から出てくるとでも思っているのか?」
(; ∀ )「いまの父上の口調からじゃ、それ以外に想像がつかねーよ!!」
(´・ω・` )「愚かな…きちんと別に用意する特別仕様のものがあるわい!」
(*゚∀゚)「特別仕様の?なんだよそれ…」
(´・ω・` )「特別仕様のデラックスパイ生地を用意して、人が入れる大きさくらいにして焼く!
        焼けた生地はしっかりと冷まして、道化や軽業師たちにはその中に入ってもらおう。
        そして素知らぬ顔で、食卓の真ん中にドンと置く。
        みんなまさかパイの中に人が入っているとは思うまい。で、フタを開けてビックリというわけだ」
(;゚∀゚)「な…なるほど…」
(´・ω・` )「パイを切ったら中の人たちが登場、食卓に座っているみんなにご挨拶してすぐに劇を始める」
(;゚∀゚)「パイから人っていうのもビックリなのに、みんなが慌ててる中でさらに劇を始めるの?!」
(´・ω・` )「そのほうがより効果的だと思ったからな」
(*゚∀゚)「…そうか。でさ、劇の内容はどんなのなの?」

(´・ω・` )「もちろん喜劇」
(*゚∀゚)「…オレ、英雄劇のほうがいい」
(´・ω・` )「お前の意見など別に求めとらん。だいたいな、食事中に見せる劇だぞ。
        眉間にしわを寄せて見るようなシリアス系よりは気楽に笑いあえるコメディ系のほうがいいだろうが?
        まったくお前は本当に思慮が足りんな、とんだスポンジ頭だのう!」
(#゚∀゚)「スス、ス…スポンジ頭ァ?!ちょっと待てこのクソオヤジが!なんで『英雄劇がいい』って
     言っただけでそこまで罵倒されなきゃいけないんだよ!理不尽だ!」
(´・ω・` )「お前の発言があまりにバカなものだったからだ。自分のバカ頭を恨むんだな」
(#゚∀゚)「…~~~~~~~!!」

( ´・ω・`)「…で、パーティーの規模をどれくらいにするか、だが…」
(゚∀゚*)「十字軍結成記念パーティーだぜ?この際ド派手にいっちゃえば?」
( ´・ω・`)「うむ、もちろん市民たちにも場を開放し、ブノレゴーニュ流のパフォーマンスをとくと見せ付けてやることにする!」
( ´・ω・`)「もちろん市民たちにも食事をふるまうぞ!!!!」
Σ(゚∀゚;)「流石だな父者!!」
(゚∀゚;)(でもちょっとド派手すぎないか?そこまで規模をでかくして収集がつくのかな…)

そんなツャルルの不安をよそに、キジパーティーの準備は着々と進められ…

( ´・ω・`)「明日失敗しないために予行演習だー!」
(゚∀゚;)「だからって前日の午前2時からやるのかよ!気合入りすぎだろ!」
( ´・ω・`)「ツャルル、お前は十字軍の一隊を率いたくはないのかっ!」
(゚∀゚;)「ハイッ、率いたいです!活躍したいです!」
( ´・ω・`)「じゃあつべこべ言わずに演習に専念するのだー!」
(((゚д゚;)))))「ヒイイイィィィイイイ!!」

予行演習は延々20時間ほど続いた。

( ´・ω・`)「本番はも~っっっと 長 い からな。でも最初の挨拶が終わったら後は楽だから」
Σ(゚∀゚;)「ちょっと待て!予行演習でさえ長かったのに…」
( ´・ω・`)「諦めたらそこで試合終了だー!
        晴れの舞台で失敗したくないのなら、弱音など吐くんじゃないっ!!」
(゚∀゚;)ゝ「イエッサー!!」

前日とあって、いつもは穏やかな父が宗○コーチや月○先生もビックリの鬼コーチと化していた。
ツャルルは何度か挫折しそうになったが、なんとか自分を励ましつつその苦難を乗り越えた!
そして 夜が あけた … !!

( ´・ω・`)「みんな、最高ですか~~~~!!!」
(^ω^*(^ω^*(^ω^*)「最高だお~~~~~~~~~~~~~~!!!」

キジパーティーの始まりは、ブノレゴーニュ公の開会の辞で幕を開けた。
右を見ても左を見ても前を見ても後ろを見ても、うんざりするほどの人だかりである。
しかし人々はノリにノッていた。

( ^ω^)^ω^)^ω^)「さすがブノレゴーニュ公は太っ腹だお!美味しい料理がいっぱいだお!」
( ´・ω・`)「特注の特大パイじゃ、みんな遠慮せずに食え~~~~~~!!!!」
( ^ω^)ノシ^ω^)ノシ^ω^)ノシ「遠慮なくいただきますお!!!」

人々が食事に手をつけようとした瞬間!

( ´・ω・`)「道化カモォォオオオン!!!」

合図と共に、パイの中からブノレゴーニュ家お抱えの劇団たちが一斉に現れた!!
豪華な衣装に身を包み、幻想的な舞台をみなさまの前で披露する劇団員たち!
アクロバットあり、コメディあり、時にホロリとするような劇もあり…
バリエーションは凄まじく豊富であった。

(*^ω^)*^ω^)*^ω^)「「アントルメktkr!!!」
( ´・ω・`)「歌だー!劇だー!みんな今日は存分に盛り上がっていけー!」
ヾ(*^ω^)*^ω^)*^ω^)ノシ「イヤッホォォオウ!祭りだお!祭りだおーっ!!」

異様な雰囲気!異様な熱気!ありし日のQUEENのライヴツアーのようだっ!!
そんなお祭り騒ぎの中、一人孤独に水をがぶ飲みしている男が一人…

旦⊂(-∀-;)「プハ~…」
旦⊂(゚∀゚;)「な、なんだよ!オレはこういうお祭り騒ぎは苦手なんだよ!!
        え?いくら苦手でもごまかせ、祭りの場なんだからワインくらい飲め…だって?」
旦⊂(゚∀゚#)「あのなあ!オレみたいに血の気の多いヤツに酒を飲ませたらどうなるかわかってんのか!
         最悪の自体を想定すると 大 惨 事 になるだろ!きっとオレは酒癖が悪いに違いないからな!
         だから酒は飲まないようにしてんだよ!わかったかこのヴォケ!!」
( ´・ω・`)「おいツャルル、人の言ったことにいちいちマジレスして逆切れかますのはそろそろ卒業せんか!向こうもちょっと困ってるだろ!」
旦⊂(゚∀゚ )「あ、父上。何しにきたんだよ…」
( ´・ω・`)「そろそろ十字軍兵士宣誓の時間だから呼びに来たのだ!さっさとせんか!」
('A`)「…マンドクセ」

( ´・ω・`)「面倒くさいだと?昨日さんざん練習しただろ!ドタキャンなどもっての外だぞ!」
(゚∀゚;)「じょ、冗談だって…わかったよ、すぐに用意して行くから」
( ´・ω・`)「よし。じゃあ5分後に指定の場所に来るように」
Σ(゚∀゚;)「ちょ、そんなギリギリの時間になって呼び出すなよ!」
( ´・ω・`)「こっちだって忙しいのだ!5分以内に来れない場合はぶち殺すぞ」
(゚∀゚;)「くぁwせdrftgyふじこlp;@:?!」

いきなりのことに口をパクパクさせているツャルルを尻目に、公はさっさとステージに向かって駆け出した!


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