それぞれのマリッジ・ブルー(ガナロット編)

( ‘∀‘)「スンスンス~ン♪」

鼻歌を歌いながら廊下をスキップしているのはこのサブォア邸の当主の娘・ガナロット。

( ‘∀‘)「スンスンスンス~ン♪お父様、お話ってな~に?」
( ´_ゝ`)「うむ、ガナロット。フラソス王太子からお前に手紙が来てるんだ」
( ‘∀‘)「お手紙?」
( ´_ゝ`)つ□「これだ」

赤い「親展」のスタンプが押されたガナロット宛ての手紙は、すでに開封されたあとがあった。

(#‘∀‘)「親展って書いてあるじゃない…」
( ´_ゝ`)「それが何か?」
(#‘∀‘)「……………」

ガナロットが中の便箋を見ると、そこには雑っぽさを色濃く残した文字でこう書かれていた。


『拝啓 ガナロット・ド・サブォア様。突然のお手紙、申し訳ない。わたしの名はフラソス王太子ギイ・ド・ヴァ口アです。
 今回お手紙をしたためたのは、わたしが貴女との結婚を望んでいるということを伝えるためです。
 聞くところによりますと、貴女はとても愛らしく魅力的で明るい子だとか…
 貴女こそまさにわたしが常々思い描いていた理想の女性です。つきましては是非とも貴女との婚姻を申し込みたく思っております。
 どうか早急にご返事願いたい。色よいお返事を期待しております。フラソス王太子ギイ・ド・ヴァ口ア』


( ‘∀‘)「ねえ、お父様~」
( ´_ゝ`)「む?何だね」
( ‘∀‘)「結婚ってな~に?」
( ´_ゝ`)「お伽話の中でお姫様が王子様としたことだ」
( ‘∀‘)「…ピンと来ないよ…」

なんのことやらという様子のガナロットにサブォア侯は優しく噛み砕いて教えた。

( ´_ゝ`)「お嫁さんになるということと言えば分かるかな。まあ、お前がそこまで考えこむ必要はないぞ」
( ‘∀‘)「え~…?」
( ´_ゝ`)「すでにわたしがお前のかわりに『Oui』の返事をしておいたから」
( ‘∀‘)「うぃ?け・こ・せ?(訳・ウィ?なにそれ?)」
( ´_ゝ`)「こちらの言葉で言うと『Si』だな…つまり承諾したということだ」
( ‘∀‘)「え…」
(;‘∀‘)「お、お父様……」

目を白黒させるガナロットだが、サブォア侯は全く動じず話を続けている。

( ´_ゝ`)「まあ相手はフラソス王太子だ。味方につけておくに越したことはない」
( ´_ゝ`)「がんばれよ、ガナロット。父は応援しているぞ」
(;‘∀‘)(よ…よくわからないことを勝手に承諾されて、よくわからない人のお嫁にされた?!)

それから数日して、大きな封筒が送られてきた。

( ´_ゝ`)「ガナロット、フラソス王太子からお届け物だぞ」
(;‘∀‘)「へ、へぇ~…な、何かしら…楽しみだわ」
( ´_ゝ`)つ□「開けてからのお楽しみだな」
□⊂(‘∀‘ )「じゃあ開けてみようっと」

入っていたのは、肖像画と青、赤、黄色、緑と様々に色づけられたイルカを模った飴だった。

( ‘∀‘)つ゚「わ~い、カラフルな飴ちゃんもらった~♪」
(;´_ゝ`)「こらこら、きちんと相手方の肖像画も見ておやり」
□⊂(‘∀‘ )「はぁい」

こじんまりとした肖像画に描かれていたのは、眼光鋭い痩せぎすの、自分より二回りほど年上と見られる暗い髪と目の色をした男性だった。

(;‘∀‘)(こ、これはどう見ても『おじさん』…っ)

イ夕リアッ子のガナロットには見た目だけでも到底合いそうにない、明るそうとは言いがたいおじさんである。

(;‘∀‘)「お、お、お、お父様~……?」

ガナロットは不安げな眼差しを父に向けた。

( ´_ゝ`)「フラソスの王太子は私と10歳違いだそうだな。
      まあ確かにお前の目から見たら十分おじさんかもしれんが、私が見たところ気骨のありそうな殿方だと思うぞ」
(;‘∀‘)「そうかなあ…」

ひとりで納得しているサブォア侯だが、ガナロットは不安を隠せないようだ。

"□⊂(‘∀‘ )「えーと、入ってるものはこれで全部かな?」

ガナロットが封筒を逆さにしてシャカシャカ振ると、中からきちんと折りたたまれた便箋が出てきた。

『拝啓 ガナロット・ド・サブォア様
 既にご覧になっていらっしゃると思われますが、今回はわたしの肖像画とドーフィネ特産の『イルカ飴』を同封いたしました。
美味しく召し上がっていただければ幸いです。ではまたお手紙いたします。 フラソス王太子ギイ・ド・ヴァ口ア』

便箋に踊るのは、相変わらず雑っぽい字だった。

(*‘∀‘)「…これ、イルカ飴っていうんだ~。いただきま~す♪あっ、お礼のお手紙出さなきゃ」
( ´_ゝ`)「うむ、返事は早急に出しておかねばな」



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