シャルルが登場してくるのは4章・30節から。
4章はルイのブルゴーニュ亡命生活に焦点が当てられています。
前ふりとして「なんだかルイとシャルルはどうもウマが合わないらしい」という不安をあおる説明。
亡命したルイを歓迎する宴会をブルゴーニュ公が開いてくれるのですが、そこでひと悶着起こる。
ブルゴーニュ公・ブルゴーニュ公妃・シャロレ伯・シャロレ伯妃となぜかフィリップ・ド・コミーヌを
まじえての宴会。そしておいしいお食事。公ならびに公妃と交わす会話。
サヴォアにいるルイの妃・シャルロットをブルゴーニュに迎えるべきか否か、という内容みたい。
テーブルにはおいしいお食事とおそらくかなりの確率でブルゴーニュ産と思われるワイン。
ワインのほかにもオレンジとメロンのジュースが供され、ルイはオレンジジュースを頂いているらしい。
ジュースはアルプスからの雪で冷え冷え。
平地ばかりのフランドル地方でどんな仕組みを使って雪を貯蔵しているんだろう?と不思議がるルイ。
そして談話のさなか、妊娠中の妃イザベルをしきりに気遣うシャロレ伯シャルル。
自分のことを気遣い様子を伺うシャルルにイザベルは手元のグラスに視線を落としつつ微笑む。
思わずこちらもニッコリしちゃうくらいのラブラブっぷりだぜコノヤロウ!
しかしここからすぐ後のシャルルの発言の数々は微笑ましさを打ち消し不快感を催させるに余りある。
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(*゚∀゚)つ旦『殿下、あなた様がまさかお世継ぎを望んでおられたとは初耳でした』
とワイン片手にむこうみずにも得意げな調子で彼は言った。
(゚Д゚,,;)『まぁ、神がわたしにおめぐみくださる数ある恩恵のひとつですからね…』
ルイは戸惑いながらも答えた。
( ´・ω・`)『シャルル、口が過ぎるぞ』
とブルゴーニュ公が注意した。
そこで伯妃が言った。
(*゚ー゚)『わたくし達は殿下がシャルロット姫とご一緒になることををつねづね願っておりました。
聞くところによりますと、姫君はとても淑やかで美しくあらせられるとか』
ルイは控えめにこう答えた。
(゚Д゚,,)『シャルロットは全く淑やかな女性であるでしょうな。
可愛らしく、教養もあり、そして全てのサヴォア人がそうであるように敬虔でしょう』
(*゚∀゚)『アマデウスのような敬虔さなどサヴォアにおいてとうに忘れ去られたものであったとばかり思っておりましたよ』
そう言いながらシャロレ伯はくっくと笑った。
(#´・ω・`)『シャルル!』
公はシャロレ伯を叱りとばすと、改めてルイのほうに向き直った。
( ´・ω・`)『姫君から良い返事が来るといいのですが。
殿下の喜ばしきご訪問に際して奥方がいないというのは残念なことですから』
(゚Д゚,,)『ええ、こちらからも再三連絡しているのですが』
ルイはいったん言葉を切った。
(゚Д゚,,)『ルドヴィーコ公(シャルロットの父親)がシャルロットをサヴォアに置いている方が安全だとお考えのようなのです』
(*゚∀゚)『ありえない!』
シャロレ伯は早口に吐き捨てた。
(*゚∀゚)『父上、ブルゴーニュよりも安全と豪語する不遜な国があるとは信じがたい事です。
このような厚かましい物言いを許すおつもりなのですか?』
公は困惑した様子で、すぐ近くにいた優れた外交官であるフィリップ・ド・コミーヌに目を向けた。
(・∀ ・)『殿下は持参金のことをお気になさっておいでですね』
( ´・ω・`)『ふむ、王太子殿下は金が入用なのだね?』
(゚Д゚,,)『いえ、お気遣いは無用ですよ』
( ´・ω・`)『コミーヌ、実際の所はどうなのだ』
(・∀ ・)『わずかな品のほかは身一つでお逃げあそばされております。
私財はドーフィネに全て置いてゆかれたようですから、ただいまの殿下に使えるお金は1ソルもございませんよ』
(*゚∀゚)『信じられませんな!』
(゚Д゚,,#)『伯、今の発言はどういう意味かお聞かせ願えますかね!』
王太子は声を荒げた。
(*゚∀゚)『私が信じられないと言ったのは、殿下の置いてゆかれた財産の価値についてですよ?』
シャロレ伯はさらりと答えた。
(The Spider King・4章30節から)
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以上がシャルルと愉快な家族たちの初登場シーンになります。
わかりますでしょうか、このエンジンの全開っぷりwと鼻持ちならない性格!
「ア~ッヒャッヒャッヒャ!」とシャルルの意地悪な高笑いが聞こえてきそうです。
ルイの発言に逐一揚げ足をとるわ茶々は入れるわ、口が過ぎるとか空気読まないというレベルを越えている。
発言からにじみ出るルイに対する悪意。まさかこれでオブラートに包んでいるつもりの発言だというのか!
そのオブラート所々破れてますよシャロレ伯。ルイ明らかに怒ってますよ。
イザベルのせっかくのフォローも平気でぶっ壊してるし。ともかくルイに関係することは嫌でしょうがないらしい。
『アマデウスのような敬虔さなど…』のくだりは読んでいて非常に癪に障りました。駄目だ、このシャルル痛すぎるw
『アマデウス』はシャルロットのおじいちゃんにあたる人で、サヴォア公アメデオ8世のことを指していると思われます。
後の話で出てくる『シャルロットのおじいちゃんの指輪』というのも、おそらくアメデオ8世の所有していたものでしょう。
この人はかの「教皇のアヴィニョン捕囚」から続く大シスマの対立教皇・フェリクス5世でもあるのだそうです。
『アマデウスのような敬虔さなど…』というシャロレ伯の台詞はそういう事情を指摘しているんでしょうか。
でも明らかに重箱の隅つつきな感じの揚げ足の取り方ですよね。
宴会の席で主役の機嫌を損ねさせるような空気を読まない所業はどうかと思う。
『Incredible!(信じられませんな!)』とか言ってるけどシャロレ伯のKY発言の方がよっぽどIncredibleだよ!
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