Fie de ma vie!(人生なんてなにになるの!)

タイトルは王太子妃マーガレット・ステュアートが病床にあって言ったと伝えられる言葉で、
原文は『Fie de ma vie! Ne m'en parlez plus.(フィ ドゥ マ ヴィ、ヌ マン パル プリュ…と読むのかな。)
The Spider Kingでも当然この台詞は出てきます。が、多少意味が違った形で使われております。
史実においてこの言葉はマーガレットがあまりに報われない人生に絶望して発したものとされています。
しかしThe Spider Kingの作中では王太子ルイと王太子妃マーガレットは読んでるこっちが恥ずかしくなる
くらいの仲良し夫婦!ルイは病床のマーガレットをそれはそれは甲斐甲斐しく世話します。
なんぞこれ。

史実では200%ありえないシチュエーションです。

ルイの看病のおかげか、どん底に思われていたマーガレットの体調はわずかに持ち直します。
そのときにマーガレットは傍らに控えるルイと修道士のジャンに明るい口調でこう言いました。

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(゚ー゚ )『わたしは生きたいわ、生きるのよ!ねぇ、ルイ様もジャンもそんな暗いお顔をしないで。
     わたしの命がどうなるかなんていう話はやめましょうよ』
(The Spider King・2章21節から)

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前後の文脈から判断すると、作中のマーガレットはあくまでポジティヴにこの発言をしたものと思われます。
しかしながらこの話がフランスの宮廷に歪曲されて広がってしまうのです。
曰く、『王太子と王太子妃はなにごとかを言い争っていて、もう自分はこのまま死ぬのだと自棄になった
王太子妃は「ああ、人生なんてなにになるの!そんな話、もうわたしにしないで(“Fie upon my life ! Don't mention it to me again.”)」
と言ったらしい』とのこと。さて、先ほどの発言が完全にネガティヴな方向にねじ曲げられてしまいました。

このねじ曲げられた噂がフランス国王シャルル7世の耳にも入るわけです。
シャルル7世はこの噂を信じてしまい、怒りに満ちた口調で言いました。

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( ^Д^)『ド・ブレゼよ、わしは近頃どうしようか決めかねておる。あのバケモノ(=ルイ?)が
      ドーフィネに身を隠す前に、あいつをどこぞに放逐してしまおうか、とな』
(The Spider King・2章21節から)

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そして父子が誤解・反目しあう中、マーガレットは治療の甲斐なく昏睡状態に陥り静かに息を引き取ります。
たぶんこの項が作中でのルイとシャルル7世の決定的な亀裂になるのだと思われます。



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