ギイとフラソス王と謎の子供

そしてギイは妙に懐かしい風景の中で目覚めた。

(・Д・,,)「ここは…?」

彼は懐かしさを覚える風景の中をおぼつかない足取りで歩き回った。

(,,・Д・)(薄暗いし、空気も澱んで、きな臭いなあ。うーん、ここはどこだったっけ…)

石造りの階段と飾り気の無い廊下を歩いていくと、やっとのことで明るいバルコーンに出た。
何処かで見おぼえのある若い男が手すりに気だるそうにもたれかかっている。
狐のような目をした、痩せた男。ギイはあの男を間違いなく知っていた。さてあれは誰だろう?

(^Д^ )「何しに来た、ギイ?」
(,,・Д・)「………えっ、…あ…」

男は彼を一瞥すると、不機嫌さを隠すことなくギイに怒鳴りつけた。

(^Д^#)「用もないのにうろうろするな、邪魔だ!」
(;,,・Д・)「!!」

放心した様子で立ち尽くすギイに、その男…若きフラソス国王ツャルル7世はなんの言葉もかけずに
くるりと背を向けた。ギイは眼に涙を浮かべながら、とぼとぼと廊下を歩いていくほかなかった。

(,,;Д;)「父上ぇ…ぼくは…父上の邪魔をするつもりじゃなくって…父上が、全然遊んで
      くれないから、淋しくって…うっ…グスッ…」

ギイは床に座り込んでしくしくと泣きじゃくった。

(,,つд⊂)「グスッ…ヒック…」

しかしギイは心の中で、泣いている自分を妙に醒めた眼差しで見つめているもう一人の自分がいる
ことに気づいていた。父親に拒絶されて泣きじゃくる感情と第三者的な視点で見つめる醒めた感情が
彼の内部で奇妙に同居していたのだった。

(::::Д:::)(…そうか、『わたし』は昔の記憶の中に迷い込んでいるのか。でもなぜ、どうして?
      自分の昔の記憶の中に迷い込むなんて、わたしは夢を見ているのか…?)

再びギイの目の前の景色がゆらいでいく。

(゚Д゚,,)「うーん…」

どうやら今度は自分の部屋らしい。ベッドのシーツが汗でべとついている。

(゚Д゚,,)「小さい頃の夢か。忘れたとばかり思っていたのにな」

ギイはとりあえず着替えて、父であるフラソス国王に対する挨拶のために身支度を整えた。

(゚Д゚,,)「気は進まないが、そろそろ行くか」

部屋をノックして中に入ると、神経質にこめかみをひくつかせたフラソス国王が窓際に立っていた。

( ^Д^)「遅かったな、王太子。今日は特別な話があって呼び出したのだが…」
(゚Д゚,,)「遅れて申し訳ございません、陛下」
( ^Д^)「まあいい。さっさと本題に入ろう。…私はお前のことをそろそろ大人と認められるに
      相応しい歳になってきたと思っている。ということで、私からお前に相応しい結婚相手を
      選んでやった。成人の祝いだと思ってありがたく受け取るがいい」
(゚Д゚,,)「はあ…」

ギイは要領を得ない様子で生返事をした。

( ^Д^)「相手はヌコットラソドのヌテュアート家の王女マノレグリットだ」
(゚Д゚,,)「マノレグリット、ですか」
( ^Д^)「後ほど肖像画も届くだろうから、楽しみに待っていろよ」
(゚Д゚,,)「…はい」

話が済むとギイは足早に自分の部屋へと戻っていった。

(゚Д゚,,)「『真珠』か…」

部屋のベッドに寝転がって相手方の王女の絵をぼんやりと眺めながら、ギイは呟いた。
マノレグリットの名は真珠を意味する。
その名に違わず、肖像画に描かれた王女は可憐でどこか儚げな、妖精のような少女だった。
眩い金髪と白い肌、そして透き通るような青い眼。

(゚Д゚,,)「これが、父上がわたしのために選んだ女か!」

ギイは嘲りをまじえた口調で吐き捨てた。

(゚Д゚,,)(父上は…この女を選ぶ時に、あの周りに侍らす女達を選ぶようにしただろうか?
     周りに侍らす女達を選ぶような目で、この女を選んだろうか)

ギイは嫌悪感を露にして絵の中の少女を見た。

(-Д-,,)(……ならば、わたしは…この女を愛することはあるまい)
???『………本当に?本当にそうするつもりなの?』
Σ(゚Д゚,,)「ン?!」

いきなり頭の中に響いてきた幼い子供の声に、ギイは狼狽した。

(;,,゚Д゚)「誰だ!」

ぼんやりとした光の中から、その子供は姿を現した。

(,,・Д・)『…ぼくはそんな風に生きるのは嫌だ』
(゚Д゚,,)「なんだ、お前は…どうしてお前にわたしの生き方を否定する権利があるんだ?」
(,,・Д・)『マノレグリットを嫌っちゃ駄目。きみがマノレグリットを嫌うことで、ぼくはこれ以上悲しみを背負いたくないもの』
(゚Д゚,,)「…お前が誰だかは知らんが、理の通らんことを言う奴だな。なぜわたしが彼女を嫌って、お前が悲しむことになるんだ?」
(,,・Д・)『判らないの?ぼくは…』
(゚Д゚,,)「お前がどこの誰かなんて興味はない。これ以上グチャグチャ言うのはやめてもらおう。邪魔だ!」
(,,・Д・)『………そう』

悲しげに言い残すと、その子供は姿を消した。

Σ(゚Д゚,,;)「えっ、消えた?一体なんなんだ、まやかしか!?」



ページをめくる