『家』とは『家庭』ではない

誰も座る人がいなかろうと、椅子はその役割を失わない
でも椅子は『家』にはなりえないし
『家』は『家庭』にはなりえない

きみを抱きとめてくれる人や、おやすみのキスを送る人がいなくたって
部屋はその役割を失わない
たとえそこが誰もいないような、薄暗い場所であっても

でも部屋は『家』にはなりえないし
『家』は『家庭』にはなりえない

もしもぼくたちが離れてしまっても
もしもどちらかが心を傷つけてしまうような時が来ても
今も昔も同じように、ぼくはきみのことを思って名前を呼ぶよ
たとえば行き着く先が
馬鹿なことをしたと思って涙を流すことになってもね

ねぇ、もしも暖かい心があるひとなら
ぼくたちが離れ離れになってしまうような間違いを犯さないでおくれ
ぼくは独りで暮らしていくつもりはないし
この『家』を『家庭』にしたいんだ

階段をのぼって部屋のカギを廻すとき、どうかそこにいておくれ
ぼくのことを愛しておくれ
ぼくは独りで暮らしていくつもりはないんだ

この『家』を『家庭』にしたいんだ
階段をのぼって部屋のカギを廻すとき、どうかそこにいておくれ
ぼくのことを愛しておくれ



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