アンヌ・ド・ブルターニュ3

召使いたちの手配で急遽、侍医たちが意識不明のシャルル8世の元に集められた。
王妃アンヌはほとんど半狂乱になって医師たちに詰め寄った。

(‘ω‘;  )「シャルル様は大丈夫なのですか?!」
( 医^ω^)「国王陛下におかれましては…その……非常に打ち所が悪うございますお」
Σ(‘ω‘;  )「えっ!!」
( 医^ω^)「正直なところを申し上げますと、今晩がヤマですお」
(‘ω‘;  )「お医者さま、そんなことを言わないでどうかシャルル様のお怪我を治してくださいませ!」
( 医^ω^)「…大変申し上げにくいけど、手の施しようがないお…ブラックヅャックでも無理だお」
(‘ω‘;  )「そんな!!」

打ち所がよほど悪かったのか、シャルル8世はそのまま亡くなってしまいましたとさ。

( ;^ω^( ;^ω^( ;^ω^)「なんて間抜けな事故だお…」

さて、シャルル8世が亡くなったあとのアンヌの悲嘆はすさまじかった。

(つω⊂  )「シャルル様、シャルル様、どうしてわたくしを置いていってしまったのです!!
       どうかわたくしも連れて行ってくださいまし!」

アンヌは部屋に篭りっきりで、夫の死を嘆きつづけていた。
嘆く王妃にお決まりの言葉をかけて、沢山の弔問者がアンヌの元を訪れては去っていく。

(つω⊂  )「…愛する人を亡くしたわたくしの悲しみを、だれもわかってはくれないのね。
       シャルル様の死で凍りついてしまったわたくしの心は、もう永久に癒されることはないのかしら…」
ヽ|・∀・|ノ 「貴女の心の隙間、埋めてさしあげましょう」
Σ(‘ω⊂  )「な、なに?!ひょっとして喪黒さん!?」
ヽ|・∀・|ノ「ノン♪アンヌ王妃、貴女の婚約者候補の一人だったわたしの顔をお忘れか?」
(‘ω‘;  )「あ、貴方は…」
ヽ|・∀・|ノ「以前オルレアン公ルイと呼ばれていた者ですよ…尤も現在はフランスの新国王としてルイ12世を名乗っております。
       何はともあれ、お久しぶりですアンヌ様」
(‘ω‘;  )「お、お久しゅう…ルイ・ドルレアン様」

突如アンヌの前に現れたかつての求婚者、オルレアン公ルイ!
新国王ルイ12世として目の前に現れた彼にアンヌはどうするのか?!

ヽ|・∀・|ノ「前国王の突然のご逝去には驚きました。百合の王国にとっては非常な損失、そして人々にとっては多大なる悲しみですな。
       このような形でアンヌ様と再会することになるとは、運命とは皮肉なものです」
(‘ω‘#  )「貴方って人は口では巧いことをおっしゃるけど、本当のところは夫が亡くなって良かったと思ってらっしゃるんでしょう?
        ねえ、分家筋のルイ・ドルレアン様!」

そう、ルイ12世はヴァロア本家の分家にあたるオルレアン家出身。
シャルル8世がこんなに早く亡くならなければ、彼に王冠が廻ってくることはありえなかったはず…

ヽ|;・∀・|ノ「とんでもない!陛下は大切な従弟、その従弟殿の死に際してわたしも涙が枯れるほどに泣き濡れておりました」
(‘ω‘#  )「本当に?貴方、確か夫が生きているときにさんざん叛乱を仕掛けてきたはずだったと思うけど…」
ヽ|;・∀・|ノ「え~?そんなことありましたっけ??」
(‘ω‘#  )「下手なごまかしはおよしなさい、この大根役者!」
ヽ|;・∀・|ノ「ノン、確かにわたしは国王陛下が生きているうちに叛乱を計画しましたが、それは全て
        アンヌ王妃…貴女への恋心がわたしを狂わせた結果なのでございます」
(‘ω‘#  )「…恋心?白々しい、『変』心の間違いじゃなくって?」

ヽ|*・∀・|ノ「いえいえアンヌ様、わたしの貴女に対する恋心は太陽よりも熱いですよ!
       貴女に婚約を申し込んだ時から、わたしの思いは貴女ひとすじ」
(‘ω‘  )「…………………」

(‘ω‘  )(わたくしがシャルル様と結婚する前、確かにこの人は一番熱烈な求婚者だったわ)

ヽ|*・∀・|ノ「アンヌ様、貴女をこの世で一番愛している男は間違いなくこのわたし。どうかそのことをお心に留められますよう」
(‘ω‘;  )「……貴方ってほんっとーにしつこいのね…」
ヽ|*・∀・|ノ「諦めの悪い男ですから!」
(‘ω‘;  )「あの、別に褒めたつもりじゃなくてよ」

新国王ルイ12世は、昔からずーっと恋していたアンヌが未亡人となったことに不謹慎ながらもときめきを隠せなかった。
そう、同窓会で久々に片思いの女の子を見かけたときのあのときめきが今や彼をすっかり狂わせていたのである!
しかもその女の子は昔見たときよりもさらに素晴らしく、眩いばかりの美しさで彼の前に現れたのだから…

ヽ|・∀・*|ノ「十年前はあのシャルルの野郎にアンヌちゃんを取られちまったが、今度はしくじるもんか!
       お天道さまがなんぼのもんじゃい!世間の目なんてキニシナイ!今度こそアンヌちゃんはわたしのもの!ヒャッホー!!」

さてさて、しかしルイ12世は既にシャルル8世の姉・ジャンヌと結婚している。
二人の間に子供はまだなかったが、それでもルイ12世にはれっきとした妻がいる。
それなのにどうやってアンヌと結婚するんだい?



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