フリードリヒとレオノール

ドイツ王フリードリヒ5世はローマに赴くことにした。
ローマ教皇に神聖ローマ皇帝の位を認めてもらいにいくため、そして結婚するためである。
フリードリヒ5世は彼女いない歴=年齢だった。
実に36年間モテたことがなく、妖精の資格を立派に有していた。
彼は神聖ローマ帝国じゅうの独身男性の希望の星であった。
そんな彼がなぜ急に結婚しようと思ったのだろうか?

理由は簡単である。
ポルトガルはアヴィシュ家のレオノール王女が『フリードリヒと結婚したい』と言って
きたのだ。一体何の冗談だろうか、とフリードリヒはいぶかしんだ。
いぶかしんでいるうちにポルトガルから王女の肖像画が送られてきた。

('A`;)「16歳…だと?」

絵姿に描かれたレオノール王女はすこぶる美少女だった。

('A`)「…これなんてエロゲ?」

フリードリヒは信じなかった。こんなウマい展開が現実にあるわけがない。
しかしレオノール王女は本当に美少女だった。
ポルトガルへ送った使者がそう証言した。

('A`)「つまり表も裏も何もない、本当にレオノール王女が『結婚したい』と言ってるのか」

ここに来てようやくフリードリヒは疑うことをやめた。
一度計画が進み出せばあとは順調だった。

('A`)「よし、式場はイタリアだ」

ドイツ王フリードリヒはオーストリアに住居を構えていた。
レオノール王女は言うまでもなくポルトガルに住んでいる。
ポルトガルからわざわざスペイン、フランス、ブルゴーニュと陸路を通って行くのは
あまりにもまだるっこしい。
そういうわけで互いに中間地点となるイタリアで落ち合うことになった。
ポルトガルからは海路を通って、オーストリアからはアルプスを越えればいい。

('A`)「ものはついでだ、教皇に正式な神聖ローマ皇帝として認めてもらってこよう」

ローマ教皇に繋がるツテはあった。
フリードリヒに仕えていたイタリア人枢機卿、エネア・シルヴィオ・ピッコローミニである。

(,,^Д^)「へっ?今なんとおっしゃいました?」
('A`)「……kんする」
(,,^Д^)「聞こえませんよ?はっきりと大きな声でおっしゃってください」
('A`#)「結婚するって言ったんだ!」

(;,,^Д^)そ「陛下がけっこん!!?冗談は顔だけにしてくださいよ!」
■⊂('A`#)「相手方の王女が肖像画を送ってきたぞ!これが冗談に見えるか!」
(;,,^Д^)「えぇ~!?よりによって陛下を選ぶなんて物好きな…」

ピッコローミニ枢機卿は慌てて教皇ニコラウス5世に連絡をとって日取りを決めた。

(,,^Д^)「えーとですね。レオノール王女とシエナで落ち合ったらまずローマに行って、ニコラウス5世聖下に
     皇帝の資格を認めてもらいます。その後でレオノール王女の伯父上のいらっしゃるナポリに行きましょうか」
('A`)「改めて考えると相当めんどくさいな。行きたくなくなってきたぞ!」
(;,,^Д^)「陛下、ここまで来てめんどくさがるのやめましょうよ!」

('A`)「やだ。行きたくない。イタリア遠い。女怖い」
(;,,^Д^)「峠一つ越えりゃいいだけじゃないですか!」
(^Д^,,)つくノ'A`)ノ)))イキタクナイヨ~

せっかく苦労して決めた縁談がパーになってはたまらない。
ピッコローミニ枢機卿はぐずるフリードリヒをなだめすかしてイタリア旅行を敢行した!

(,,^Д^)「そういうわけで私の司教区となっているシエナに着きましたよ」
('A`)「レオノール王女がまだ来てないようだが?」
(,,^Д^)「途中で海賊に襲われたのでこちらへの到着が遅れる…とのことです」
('A`#)「おのれ海賊!」

『海賊に襲撃されてポルトガルの船団全滅』だの『突然の嵐に巻き込まれて王女もろとも海の藻屑になった』だの
尾鰭のつきまくった噂が流れたりしたが、3ヶ月経ってようやくレオノール王女がシエナに姿を現した。

(,,^Д^)「いや~、一時はどうなることかと思いましたよ!プリンチペッサ・レオノール、シエナにようこそ」
川 ゚ -゚) 「ごきげんよう、ピッコローミニ枢機卿。ところでわたしの花婿はどこにいる?」
(,,^Д^)「そこの隅っこでガクガク震えてる不審者が我らがフリードリヒ陛下です」
  _,
川 ゚ -゚)「…………??」

((('A`|||)))オンナノコ コワイヨー

彼女いない歴36年のフリードリヒに王女のまばゆい美貌は少しきつかったようだ。
  _,
川 ゚ -゚)「むぅ。図体はでかいくせに随分情けない殿方だな…」
(,,^Д^)「女性に免疫がついておりませんので」
川 ゚ -゚)「まあいい。とりあえず帝冠を認めてもらいにローマへ行こう」
(,,^Д^)「陛下!王女もああ言ってることですし、正気に戻ってローマに行きましょう」
('A`|||)「女の子怖い女の子怖い女の子怖い」

こうして一行はローマを目指すことになった。



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