ブルゴーニュ公のフランス王への接近政策は、当然ベドフォード公の耳に入ることになります。
( ・∀・)「あの~、ブルゴーニュ公?最近あの偽王太子とずいぶん仲がよろしいようで」
(`・ω・´ )「何か言いたいことでもあるのか?そもそも俺はフランスの家臣だぞ」
( ・∀・)「いや…貴方がどうもご自分の義務を見誤っておられるようなので」
(`・ω・´ )「は?」
( ・∀・)「貴方の現在の奥方はわがランカスター家の血を引くアヴィシュ家のイザベル様でしょうが!」
(`・ω・´ )「それが何か?」
(;・∀・)「すっとぼけるおつもりですか?
貴方は奥方さまを通じて、このランカスター家との誼を深めているんです!
貴方は我々イングランド人の味方である立場を貫いて、アンジュー帝国の再建に向けて
イングランドに協力していただかねばならないんですよ」
(`・ω・´ )「そのことならもう言ってある。フランスへの接近はイザベルの了承済みだ。
ロンドン塔にいるオルレアン公の身代金に関する話も出始めてるぞ」
(;・∀・)「えっ」
(`・ω・´ )「たかが小娘を必死になって処刑しようとするような野蛮なアングレーズとは同盟関係を
結んでられんってこった。あとお前、アンヌが死んだ後にあっさり再婚しやがって!
誠意のかけらもない対応に俺は傷ついたんだぞ!」
(;・∀・)「はあっ!?ちょっ、ブルゴーニュ公!!私は貴方との同盟関係を考慮してましたよ、
わざわざ貴方の臣下の娘と再婚してやったじゃないですか!」
(`・ω・´ )「…その態度が好かんのだ。じゃあアデュー、ゴダン野郎」
ブルゴーニュ公はあっけにとられたベドフォード公をルーアンに残して、一直線にアラス条約に向かう
シャルル7世との交渉を進め始めたのでした。
(;・∀・)「God damn it(神よ彼らを呪われてあれ)、どうしてこうなった!」
そんな中で置いてきぼりを食わされたベドフォード公の体調は急速に悪化していきます。
(;ヽ・∀・)「ごほっ、ごほ…なんか最近調子が悪いなぁ?」
国王ヘンリー6世の摂政として「イングランド領フランス」を統治しているベドフォード公の調子は
ここ2~3年ほど思わしくなく、ブルゴーニュ公が離れたことでかつての勢いは失われていました。
ブルゴーニュ公の資金援助がなかったらイングランドは破産するだろうというひどい財政事情、
そんな中でのグロースター公ハンフリーの独断によるネーデルラント継承戦争への介入と失敗、
オルレアン攻囲網においてのブルゴーニュ公の日和見(と見える)政策が影響しての失敗。
そのオルレアン攻囲網でイングランド軍に痛い目を見せた村娘・ジャネットを捕らえて処刑したことで
「自称フランス王シャルル7世」の国王としての神権を奪ったと考えたベドフォード公でしたが、
かえってフランス王国内の対イングランド感情を悪くし、なんとベドフォード公自身の赴任地であった
ノルマンディー地方内で反乱が頻発。見通しが甘かったことを思い知らされます。
(;ヽ・∀・)「うぅ胃が痛む、おい誰か!薬を持ってきてくれ」
震える右手を掲げて人を呼ぼうとするベドフォード公でしたが、すでに日も暮れて周りには誰一人いません。
(;ヽ・∀・)「おい!誰もいないのか!?薬を持てと言ってるんだ!」
椅子から立ち上がろうとしたベドフォード公は、そのままふらふらと床に倒れこんでしまいました。
(ヽ;∀・)「おぉい、誰か…くす、り、を…」
ベドフォード公の声はだんだんとか細くなり、やがて暗闇の中に消えていきました。
1435年、アラスでフランス王シャルル7世とブルゴーニュ公フィリップ善良公との間で和平協定が
結ばれようとしているさなかにベドフォード公ジョンは息を引き取ったのでありました。
ベドフォード公が死去したことが影響したのかフランス王とブルゴーニュ公間の協定であるアラス条約が
とてもあっさりと締結されました。あらかじめ彼らの間で予備条約としてコンピェーニュ条約が結ばれていた
というのも効を奏して、二者間の和解はかなりスムーズに行われたのです。
思い切り蚊帳の外に置かれたイングランド側、特にブルゴーニュ公のとんだ背反(と見える)に煮え湯を
飲まされ続けたベドフォード公の弟・グロースター公ハンフリーの怒りはどれほどであったか。
ついでにこの頃、フランス国内でのイングランドの評判はこれでもかというほど落ち込んでいました。
( ^ω^)「ゴダンの親玉のベドフォード公が死んだらしいお」
(^ω^ )「きっとあの村娘を焼き殺した崇りだおね。
摂政公様wはもういないんだから、ゴダンもさっさとブリテンに帰ればいいのに…」
( ^ω^)「ブルゴーニュ公がゴダン野郎から手を引いたのは賢明な判断だお。
あんな奴らと一緒にいたらフランス諸侯としての品位が落ちるってもんだおw」
フランスはもちろんのこと、イングランド国内でも厭戦ムードが漂ってきていました。
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