告白!アン・ネヴィル!(2)

Σ(`・д・´;)「!」


リチャードはアンを本気で怒らせたらしいと気づき、わずかに後ずさった。


(`・д・´;)「…あ、あのぉ……」

*(##゚ ゚)*「あ゛?」


アン・ネヴィルの目は徹夜明けのリーマンのように血走っていた。
そんな眼差しで睨みつけられたものだからリチャードは思わず両手で顔を覆って目を逸らしてしまった。


(( つд⊂; )))ブルブル

*(##゚ ゚)*「おいコルァ、目ぇ逸らしてんじゃねぇぞ!こんのヘタレがぁ!!」

( つд・;⊂)チラッ

*(##゚ ゚)*「…うざっ」

(つ・д・´;)「ご、ごめんってば!ひょっとして怒ってる?」

*(##゚ ゚)*「彼氏亡くしたばっかの人に向かって『君に彼氏なんて一生無理』と無神経に言うようなアホに怒らない女がいったい
        どこの世界にいるっていうわkぁwせdrftgyふじこlp;!!!1!」


アンは怒りに震えて今にも泣きそうな顔になり、最初は声を抑えていたもののだんだんとまくしたてるように
リチャードを怒鳴りつけたので、彼はすっかり怯えきった様子でびくりと肩を震わせた。


(`・д・´;))「ご、ごべんなざぁぁあい!」

*(##;;)*「ばかー!リッチーくんのアホー!!あんたなんて孤独死しちゃえばいいのよおお!」

(`;д;´;)「こ、孤独死はいやだよおお!びええええ!」


『孤独死』という3文字をアンの口から出された瞬間、リチャードは烈火のごとく 泣 き だ し た 。
とてもあと2回誕生日を迎えたら20歳になるとは思えないほどの大人げなさで、赤子のように 泣 き だ し た 。
中世ヨーロッパ人はすぐに感情をむき出しにして涙を流しやすいとはいうものの、これは明らかにそれとは違った。
ようするに精神的にあまり成長していないアンジェントルマンリィな泣き方だった。


( つд;⊂)「ふえええ!!!ぶびぃぇええええん!!!」

*(##;;)*「リ…リッチーくんが泣いたって知らないんだから~!ふぇぇええん!!」


アン・ネヴィルは目を真っ赤にしてぼろぼろと涙を流しながらわめいている。
久々に会った幼なじみの女の子をよりによって泣かせてしまったリチャードは自分の無神経さに嫌気がさし、
そしてアンに孤独死しろアホとかバカとかありったけの罵り言葉を投げつけられたので、すっかり悲しくなって
タマネギのせいでもないのに流れ出てくる涙が止まらない状態になっていた。


(つ;д;⊂)「ぐっす、ひぐっ…ぶぇぇえん!びえええん!!!」

*(##;;)*「ふぇえん…リッチーくん、男らしくないんだからー!このヘタレっ!わぁーん!」


アンは顔を真っ赤にして泣きながら、なおも容赦なく彼を罵ってくる。


(´TдT`)「ア…アンヌさぁぁ゛あ゛ん、そんなつもりじゃなかったんだよぅ、ごべんばざぁいっ」

*(##;;)*「ひぐっ、じゃあどういうつもりだったっていうのよぉ。なにがごべんなざいよ!」

(´TдT`)「ぶうぇっ、ぐしゅっ…僕は、君を傷つ゛ける゛つもりじゃな゛くって゛…つい…」

*(##゚ ;)*「つ い う っ か り なんて言うつもりなのねーっ!このくそばかぁぁああ!!」

Σ(´;д;`)「う、うっかりじゃないよぅ!そんなことないもんっ」

*(##;;)*「じゃあ わ ざ と なのね!最低!リッチーくんなんて戦場で孤独死しちゃえばいいわ!」


つい3~4カ月前に初陣に出たばかりのリチャードに、この言葉は心にグッサリと突き刺さった。


(´;д;`)「そ、そんなのやだよぉお!僕の父上も兄ちゃんも戦場で死んじゃったもん!
      僕だってこの前はじめて戦場に出たけど、怖くて怖くて仕方なかったもん!!」

*(##;;)*「戦場が怖いですって!エドワードさんと義母上はもっともっと怖い思いをしたのよー!」


アン・ネヴィルはテュークスベリーの戦いで敗死したプリンス・オブ・ウェールズのエドワード、そして息子に先立たれて
自分ひとり生き残りヨーク家に捕縛された哀れな王妃マルグリット・ダンジューを引き合いに出した。
これはリチャードのヘタレスピリッツに見事な右ストレートを加え、リチャードのチキンハートはぐしゃぐしゃにひび割れた!


(´;д;`)「ぼ、僕…は……僕が殺したんじゃないもん…エドワードさんもマルグリット王妃も……
      あの人たちのほうが先に、僕の父上と兄ちゃんを殺したんだ!悪いのはあの人たちだもん!」

*(##;;)*「私は!あなたの馬鹿兄に!!彼氏を殺されたのっ!!!」


話がまるっきり冒頭に戻ってしまった。これでは堂々巡りのウロボロスの輪である。
リチャードは流れ出して来る涙を袖で拭きながら、真っ赤な目でアン・ネヴィルを見た。
アン・ネヴィルも真っ赤になった目でリチャードを睨みつけた。


*(##;;)*「義母上は…マルグリット王妃は、エドワードさんが殺されたと知って、くちびるを震わせて、
        静かに涙を流しつづけるだけで…声も出せないほどの絶望を味わったのよ…私だってそう!
        あの人は優しかったわ、私にいつもプレゼントを贈ってくれて、丁寧な心のこもったお手紙を
        いつも寄越してくれてたのよ。それなのにリッチーくん、あなたの馬鹿兄が!」

(´;д;`)「僕の母上だって、父上とエドマンド兄ちゃんが殺された時にマルグリット王妃とおんなじように何も言わず涙を流した!
      毎日毎日窓際に座って、空の向こう側をじっと見つめて涙を流してたんだ!
      エディ兄ちゃんも、ジョージ兄ちゃんも、僕も全員母上のおそばにいるのに、母上は僕たちの顔すら見てくれなかった。
      家全体がお墓になっちゃったみたいだったよ!
      あのころの僕たち家族が、そばにいたのにお互いにどれだけ心が離れてたかなんてアンヌさんには…わかんないよ…」

*(##;;)*「……!!」

(´;д;`)「僕はみそっかすだから、どうしたら母上の悲しみを癒せるのかわかんなくって…
      エディ兄ちゃんが毎日声をかけてたけど、母上は椅子の上に人形みたいに動かず座ってたんだ」
        
*(##;;)*「義母上だって…」

(`;д;´)「僕の母上をそんなふうにしたのは、きみの義母上のマルグリット王妃だった!」


リチャードは涙を流しながら、彼に言い返そうとしたアンを鋭く睨みつけた。


(`;д;´)「マルグリット王妃が捕まったのだって、エドワードさんが死んだのだって、全部…自分たちがやってきたことの報いを
      受けただけじゃないか!僕の父上と兄ちゃんを殺して、母上を壊してしまったんだもの。僕の家族を壊した王妃と、
      ヘンリー6世陛下の家族が…どうしてなんの報いも受けずにのうのうと生きてられるっていうの!」

*(#;;)*「………っ…」

(`;д;´)「それにエドワードさんは…
      僕がずっと好きだったきみのことを勝手に自分のものにしちゃったじゃないかぁ!
      ずるいよ、僕のほうがアンヌさんのことをずっと前から好きだったのにっ」

*(|||;;)*「?!」


リチャードの思わぬあけっぴろげ発言に、アンの顔が一瞬青ざめる。
その場にへたりこんだアンの肩口をリチャードはさっとひっつかんで強く揺さぶった。


(`;д;´)「アンヌさん、小さいころからず~っと、きみを愛してた!今も気持ちは変わらないよ。
      もちろんこれからもずっとね…。ねぇ、アンヌ。きみは気付いてなかっただろうけど…、ぼく…僕、は…」

*(|||;;)*「リ、リッチー…くん……?」

(`;д;´)「愛してる、アンヌ。一生きみを愛するって誓うよ。だから…」


そう言うとリチャードはアンの顎をそっと持ち上げた。


*(|||;;)*「ま、待って、リッチーくん」

(`;д;´)「やだ!もうこれ以上待てないよ!またアンヌが他の男のものになるのを横目でじっと見るはめになるのは、もう嫌なんだ!」


珍しくなりふり構わず積極的になっているリチャードに、アンは少し怯えたような表情をした。


*(|||;;)*「お願い待って!今のリッチーくん、怖い!」

(´;д;`)「え」

*(|||;;)*「私、リッチーくんは今までいいお友達だと思ってたの。だからいきなりそんなこと言われても」

Σ(´゚д゚`;)


リチャードは思いっきり魂が抜けたような表情になった。


(´゚д゚`;)「お と も だ ち …」


お友達。なんと残酷な響きだろうか。
つまり今までアン・ネヴィルにとってのリチャードは、恋人未満の友人でしかなかったというわけである。


*(|||;;)*「父上もエドワードさんも死んだばっかりで、義母上も捕まってしまって…何も考えられないの。
      だから、今はリッチーくんに答えをあげることはできないわ」

(´゚д゚`;)「」


リチャードは絶句した。5年以上の片思いがマジで全くむこうに気付かれていなかったことも衝撃的だったが、
何よりもプリンス・オブ・ウェールズのエドワードに死んでもなおアンの中での優先順位を奪われているという事実を突き付けられ、
リチャードは軽く絶望した。


*(|||;;)*「ごめん、リッチーくん。また今度ね」

(´゚д゚`;)「えっ、あの…」


アン・ネヴィルは溢れてくる涙を拭きもせず、さっさとリチャードのそばを離れて廊下を渡っていった。


(´゚д゚`|||)「……………オワタ…」


一人で部屋に残されたリチャードは、がくりと膝をついて頭を抱えた。


そしてアンにふられてからというもの、リチャードは自室にひきこもりっぱなしになった。
この状況が3日も続くと流石に心配になってきたのか、リチャードの部屋の扉の前で長兄エドワード4世と次兄クラレンス公ジョージが
何やら小声でヒソヒソ話し合っている。


(^∀^;)「リッチーは一体どうしたんだ?帰ってきてからずーっと部屋にこもりっぱなしだけど」

m9( ^Д^ )9m「オレがイザベラから聞いた話じゃwww妹のアンさんに告ってwwふられたらしいぜえwwww」

(^∀^#)「語尾に草生やすのやめろ、殺すぞ」

m9( ^Д^ )9m「サーセンwwwwww」

(^∀^;)「つか、アンってあのアンヌ・ネヴィルさんか?」


エドワード4世はブルゴーニュふうの訛りを交えてクラレンス公ジョージに聞き返した。


m9( ^Д^ )9m「そうそうwwオレたちがフルボッコして殺した舅どののウォリック伯んとこのww下のお嬢さんのアンさんw
           勢いに任せて告ってみたらリッチー玉砕だとさwwww」

(^∀^;)「あすこの義父さんと旦那のエドワードさんは俺らが殺したんだよな…それで告っても
      十中八九ふられるだろ、常識的に考えて」

m9( ^Д^ )9m「オレたち心証悪すぎだもんなwwwオレんとこも舅どのの件でwイザベラから全ッ然
         口聞いてもらえないwwうぇwうぇww」

(^∀^;)「ホント、どうしてそんな最悪のタイミングで告ったし…」


エドワード4世はそう言いながらリチャードの部屋をノックした。


(^∀^;)「リッチー?せめてメシくらいは食いに来いよ。みんな心配してんだぞ」

(ヽ` - ´)「やだ。アンヌさんにふられて僕の人生終わった、もうこのまま飢え死にする」

m9( ^Д^ )9m「リッチーおまwww飢え死にとかwwwwおまえの好きなメロンゼリーもたっぷり作っといたぞwwww
           やせ我慢はやめてとっとと食べに来いやwww」

(#` д ´)「うっせー!みんな馬鹿兄ちゃんのせいだ!馬鹿兄ちゃんがエドワードさんを殺さなきゃアンヌさんが
       僕を怨むこともなかったのに!馬鹿!氏ね!!」

m9( ^Д^ )9m「ちょwwwww」

(^∀^;)「落ち着けリッチー。俺たちはアンヌさんのお父さんも殺してるからな。
      どっちにしろ告っても性交の、いや成功の可能性は限りなく0パーだ!」

(#` д ´)「エディ兄ちゃんのばかぁ!!なんでネヴィルさんを殺しちゃったんだよー!」

(^∀^;)「だってあいつ親フランス路線とりやがるしランカスターにつきやがるし…」

ヾ(#` д ´)ノシ「エディ兄ちゃんと馬鹿兄ちゃんのせいで僕はアンヌさんにふられたんだぁ!」


リチャードはドアの向こうでじだんだを踏んで大暴れしだした。


m9( ^Д^ )9m「リッチーやめろwww部屋の掃除が大変だからwwww」

ヾ(#` д ´)ノシ「馬鹿兄ちゃんは黙ってろ!帰れ!僕のことはほっといてくれ!」

(^∀^;)「OKリッチー、落ち着こうか。ときにアンヌさんはなんて言ってたんだ?」


リチャードはドアを少しだけ開けて、その隙間から顔をのぞかせて静かに答えた。


(ヽ´ - `)「……ネヴィルさんとエドワードさんが死んだばっかりで、マルグリット・ダンジューさんも捕まってる今は
       何も考えられないって。今は答えをあげられないから、また今度って…」


リチャードの返答を聞いたエドワード4世の目が鋭く光る。


(^∀^ )「リッチー、それいけるぞ」

(ヽ´ - `)「?」

(^∀^ )「『今は』答えをあげられないって言ったんだろ?それに『また今度』てことは…」

m9( ^Д^ )9m「今度会ったときはおkかもしれないってことっすねwwwわかりますwwww」


エドワード4世は決め台詞を持っていったクラレンス公ジョージの頭をぶん殴ってからリチャードに諭した。


m9(#)Д^ )9m「ちょwww痛てぇwwwww」

(^∀^ )「ま、ジョージの言った通り…その答えを聞くかぎりではまだ可能性はある。
      もうひと押しすればアンヌさんも墜ちるかもしれないな」

(ヽ´ - `)「……??」


ドアの隙間から顔をのぞかせ何が何だかという顔をするリチャードだったが、エドワード4世は自信満々にサムアップしてみせた。


d(^∀^ )「俺の言うことを信じろ、リッチー!アンヌさんはもうひと押しすれば 確 実 に 墜とせる!
       ジャズ・ア・ゴーゴー、強気でゴーゴーだ!」

(ヽ´ д `)「え、でも僕『おともだち』って…」

m9( ^Д^ )9m「女好きのエディ兄ちゃんの言うことなら間違いないwww
          とりあえずやってみろ、リッチーwwwwwあ、でもその前にちゃんとメシ食ってからなw」

(ヽ´ д `)「え、えぇ?わかったよ、じゃあすぐにご飯食べるから、それから着替えてアンヌさんのとこに行ってみる…」


リチャードはいまいち要領を得ないという顔をしていたが、エドワード4世があまりにも自信ありげに断言するので、
敬愛する長兄の言うことなら信じてやってみようと思ったのだった。




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