リチャードは出かけるときの憂鬱な表情だったのが嘘のように晴れやかな面持ちで居城に戻ってきた。
城門にはなかなか戻らないリチャードを心配していたのか、二人の兄がそわそわしながら待ち構えていた。
(^∀^ )「おかえりんこ☆アンヌさんはバッチリ撃墜したかぁ?」
(*`・Д・´)b「うん!ドアを直したら指輪交換してもらったよっ」
(^∀^ )「…ドア?直す…?」
言っていることがよく分からないという面持ちのエドワード4世に、リチャードはこの2週間にあったことを軽く説明した。
リチャードの説明を黙って聞く兄×2だったが、とうとうワイン片手に話を聞いていたクラレンス公ジョージが我慢できずに
ワインを口から勢いよく噴き出して大笑いしだした。
m9( ^Д^ )9m「ぶふぁwwwおまwってことは2週間アンさんと何もナシかよwwwwありえねぇwwwwww」
(#`・Д・´)「なんだよ!何がおかしいんだよ馬鹿兄ちゃん」
クラレンス公ジョージはリチャードの返事を聞き、腹を抱えて爆笑した。
どうやら笑いのツボのスイッチを押してしまったようだ。
m9( ^Д^ )9m「やっべwチョーウケるwwww2週間も目当ての女の家にいてw何もないとかwwwww」
(^∀^ )「全く、奥手すぎるだろJK…。指輪交換しただけでキスの一つもなしか?」
(`・д・´)つ゚「うん、アンヌさんね、僕にこの指輪を渡してくれたんだぁ」
リチャードはいかにもウキウキした口調で、懐からアンの指輪を取りだした。
植物が絡み合うデザインの施された上品な金の指輪にはアメシストとアクアマリンが埋め込まれている。
m9( ^Д^ )9m「アメシストは誠実、だっけ?w」
(^∀^ )「おぅ、アクアマリンは勇敢…だな」
(^∀^(^Д^ )9m(…つまりリッチーに「勇敢で誠実な」男になれって言ってんのか、アン・ネヴィルさんはw)
兄二人は同時に同じ考えを頭の中に浮かべて互いに視線をかわしあった。
('∀` ('Д` )9m(ま、アンさんに見限られないように指輪に相応しい男になれよ、リッチーw)
リチャードは兄二人が自分に向ける生暖かい眼差しに全く気付かず話を続ける。
(`・д・´)「綺麗な指輪でしょ?見てよ、このスズランとユリが絡んだ装飾!可愛らしいアンヌさんにピッタリだよね」
(^∀^ )「ま、あの子は中味おっさんだけどなw」
(;`‐д‐´)「うん…まぁ、それは置いといてね。ともかく見た目 は 可憐なアンヌさんらしいというか…」
m9( ^Д^ )9m「で、お前やっぱアンさんと結婚すんのか?w」
(`・д・´)「当たり前じゃん!これで結婚しないとか指輪交換した意味がないよ」
真剣な目を向けるリチャードに、クラレンス公ジョージは口ごもりつつ話し始めた。
m9( ^Д^ )9m「てことはさぁ~、リッチーがアンさんと結婚したら舅どののウォリック伯領は兄弟半分こってこと…だよなぁ」
(`・д・´)そ
クラレンス公ジョージは故ウォリック伯リチャード・ネヴィルの長女イザベラと結婚している。
そして今回、グロースター公リチャードは故ウォリック伯の次女アンを娶ることになった。
m9( ^Д^ )9m「オレがウォリック伯領ぜ~んぶ貰うつもりだったのにな~、折角の俺うめぇw計画が…」
クラレンス公ジョージは足元の石を蹴飛ばし、やや不満げな様子でむくれている。
(^∀^ )「ジョージ、気持ちは分からんでもないがな…結婚祝いだと思って分けてやれよ、ミドゥラムあたりとかでいいから。お兄ちゃんだろ?」
m9( ^Д^ )9m「だってエディ兄ちゃん、オレさぁ、新しいウォリック伯になってネヴィルさんの土地ぜ~んぶ統治する気満々だったんだぜぇ?
それをいきなりリッチーがアンさんと結婚するとか…なんつーか予想外だし?」
(^∀^ )「ば~か。お前ひとりじゃネヴィルさんの領地を見るのはぜってー無理だよ!」
m9( ^Д^#)9m「あぁ!?ぜってー無理とか何その頭ごなしな言い方!無理じゃねーもん!
オレだって領地を守ることくらいひとりでできるもん!」
(`・д・´)「えぇ~、無理だよ。ジョージ兄ちゃん私生活からしてしっかりしてないじゃん…」
(^∀^ )「そうだぞ、私生活にしまりの無い奴が公的生活、しかも行政をしっかりやるとか無理に決まってるだろ」
m9( TДT#)9m「う、うるせぇ!オレだって、オレだってなぁ…やればできるんだよ!本気出してないだけだもん!」
兄と弟から精神的フルボッコにされたクラレンス公ジョージは目に涙を浮かべながら馬に乗り、そのままリチャードの居城を後にした。
さて、グロースター公リチャードの結婚話がまとまりかけていたころ、海を挟んだ隣国ブルゴーニュ公国から手紙が届いた。
手紙には読みにくいゴシック文字で『Duc de Bourgogne,Charles』と署名がしてある。
(^∀^ )「ん、ブルゴーニュのシャルルさんからだ!突然どうしたんだろう…マギーのことでなんかあったんかな」
エドワード4世はいそいそとペーパーナイフを取りだして手紙の封を開けた。
(*゚∀゚)『あろーあろー!エドワード義兄さんにおかれましては、無事にロンドルに戻れたようで何より。
そんでもって話があるんだけど、アラゴン王国とナポリ王国がオレんとこと同盟組もうぜって言ってきたんだ。
しかもアラゴン王、金羊毛騎士団に入りたいって言ってきてさぁ。
もしアラゴンとナポリを味方につけられたら、エドワード義兄さんのイングランドとフアン2世のいるアラゴン、
あとナポリ、それからオレんとこのブルゴーニュでフランス包囲網が出来上がりそうじゃね?
三国同盟でタッグを組んで百年戦争再☆開とか悪くないと思うんだけど…
ぶっちゃけエドワード義兄さん的に悪くない話だと思うんだけど、どうよ?』
ブルゴーニュ公シャルルの手紙の文面を読み終えたエドワード4世の頬がみるみるうちに緩んでいく。
Σ(^∀^* )「えっ、アラゴン王がシャルルさんと同盟してくれんの!?マジでぇ?
アラゴン王が協力してくれるなんて心強すぎだし!イングランド&ブルゴーニュ&アラゴン・ナポリで
フランス野郎フルボッコ…こりゃうめぇw」
エドワード4世はすっかり闘る気満々だった。
そしてブルゴーニュ公シャルルが手紙で伝えたとおり、11月の初旬にアラゴン王国、ナポリ王国、ブルゴーニュ公国間で同盟が締結された。
(^∀^ )「なぁなぁリッチー!シャルルさんがアラゴン・ナポリと同盟組んだってよ!」
(`・д・´*)(アンヌさんと結婚式を挙げたら、まずミドゥラム城に行って~…)
グロースター公リチャードはエドワード4世が喜び勇んで報せに来た同盟話を全く上の空で聞いていた。
(^∀^ )「お~い。シャルルさんが同盟…」
(`・ー・´*)(ミドゥラム城で1年くらいハネムーンするんだぁvそうだ、子供は最低でも5人は欲しいな!
女の子2人、男の子3人くらいできたらいいなぁ。そんでにぎやかであったかい家庭を作るんだぁ)
エドワード4世は思いっきり他ごとを考えてニヤついているリチャードの頭をこづいた。
o(^∀^ )「おいっ☆人の話を聞けよ☆」
Σ(`>д<´;)「いたっ!あ、あれっ?エディ兄ちゃんいつからそこに居たの!?」
(^∀^ )「お前が窓の外見てニヤニヤしてるあたりからずっとだ。何度も呼んだのに生返事ばっかしやがって!」
(`・Д・´;)「えーっ!!ちょっ、そんな前から居たの!?てか僕そんなにニヤついてたっけ?
お願い、エディ兄ちゃんがさっき見たことは忘れて!頼むから!」
(^∀^ )「いや~w満面のニヤケ顔だったぜぇ?忘れようたって忘れられないくらいのしまりのねぇ顔w」
エドワード4世は思い出し笑いに口の端を持ち上げている。
(^∀^ )「お前アレだろ、アンヌさんのこと考えてたろw」
(`・-・´;)「かっ…考えてないよ!そんなことひとっ欠片も考えてないもん!
アンヌさんとハネムーンしたいとか子供いっぱい欲しいだなんて全然考えてないから!」
:;。(^*^;)「ぶふぉっwwww」
エドワード4世は笑いをこらえきれずに鼻水を噴き出し、床にうずくまって肩を震わせた。
(^∀^ )「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
(`・д・´#)「なんだよぉ!さっきから兄ちゃん、僕をバカにしてるの?僕の言ったことがそんなにおかしい!?」
(^∀^ )「だってwwwさっき言ったこととか願望丸出しすぎてwwww子供いっぱいwww腹いてぇwwwwwww」
((`・д・´#)))「~~~~~~っ!!」
腹筋が捻転を起こすかというほどバカ笑いしたエドワード4世は、やっとのことで笑いの発作を治めると真面目な顔つきで
リチャードに話を切り出した。
(^∀^ )「で、ブルゴーニュのシャルルさんがアラゴン・ナポリと同盟するって話なんだけど…」
(`・д・´)「えっ!?シャルル義兄さん、アラゴン王国とナポリ王国と同盟すんの!?」
(^∀^;)「お前やっぱさっきの話全然聞いてなかったんじゃねーか…しゃーねーなぁ、恋愛脳はこれだから困る」
(;`・д・´)「…ごめんなさい」
やっぱり話を上の空で聞いていたらしいリチャードに、エドワード4世はまた最初から先ほどの話を三行に纏めて話してやった。
(^∀^ )「・ブルゴーニュ公シャルルさんにアラゴン王国とナポリ王国から同盟の打診があった
・アラゴン王自ら金羊毛騎士になりたいと言ってきた
・同盟が無事締結されれば、三方からフランス王国フルヴォッコできるかも」
(`・д・´)「へぇ。その計画、なかなか良さそうじゃない」
(^∀^ )「だろ?」
(`・д・´)「…でもさ。議会が許してくれるかなぁ?今はただでさえ国内戦争続きで絶賛財政難中じゃん」
Σ(^∀^;)
エドワード4世の顔がさっと青ざめる。
そう、このイングランドは基本的に議会の承認を受けないことには国王といえども自由に行動できない国だったのである…!
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