(`∀´;)『ちょっと待ってぇな。イザベルちゃん、僕が帰ってくるんを待っとったの?しかも毎日?』
ヽ| ・∀・|ノ「…はい、来る日も来る日もずっと」
(`∀´;)『…イザベルちゃんに僕が死んだっちゅー話は伝わっとらんかったんかいな』
ヽ| ・∀・|ノ「ヘンリー4世陛下の使者から話が伝えられていたようなんですが、イザベルはこう言ってました」
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
(‘ー‘ )「わたしは信じないわ。
だってリシャールさまはアイルランドに行く前に『すぐに帰るから泣くのはおやめ。おみやげにアイルランドのお菓子を買ってくるからね。
ここでおとなしゅうして、いい子にして待ってるんだよ』って言ったもの」
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( ∀ ;)『あ…、……あぁ…』
リシャールはつぶやきともうめきともつかない声をあげ、両手で顔を覆ってその場に膝をついた。
( ∀ ;)『言うた。あの時、確かに…そういう事言うたわぁ』
ヽ| ・∀・|ノ「やっぱりそうでしたか!イザベルはよくその話をしてたんですよ」
( ∀ )『……えっとなぁ…思い出すかぎりでは、やけど確かなぁ…』
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( `∀´)「ほな、ちょっと反乱が起こったでアイルランド行ってくるわ~」
(‘д‘ )「わたしもいっしょにつれてってー!」
(;`∀´)そ「危ないからあかんって!物見遊山やないんやから、な?」
(;д; )「やだ!わたしもリシャールさまといっしょにアイルランドいくー!」
イザベルはリシャールの袖を掴んで駄々をこねだした。
( `∀´)「イザベルちゃん、もう10歳になるんやから駄々ばっかこねとったらあかんで。
それにすぐ帰るで心配せんでもええよ。アイルランドで飴ちゃんをお土産に買うてきたるから、ここで大人しゅう待っとってぇな。
イザベルちゃん、ええ子やからできるやろ?」
(‘д‘ *)「あめちゃん!?わかった、それならわたしここでリシャールさまのためにおるすばんするー。
ぜったいにアイルランドであめちゃんかってきてね!」
( `∀´)つ「ん、ええ子やなぁイザベルちゃん。ほな大人しゅうしとるんやで。
侍女とかに迷惑かけんように遊ぶんやぞ~。アイルランドのことが片ついたら僕の心臓が止まるときまでずぅ~っと
イザベルちゃんのそばにおってやるからなぁ」
そう言ってリシャールはにこりと微笑んでイザベルの頭を撫でた。
(‘д‘ )「ねぇねぇ、わたし“おとなしゅうまっとる”から、リシャールさまもアイルランドからぜったいに
すぐにもどってくるってちかってくれる?」
( `∀´)「はいはい、お安いご用や!聖ジョルジュの十字と神かけて、それから僕の心臓にかけて、な」
リシャールは誓いの言葉を口にすると、十字を切ってからイザベルの小さな手をそっととって自分の胸の上にのせてやった。
( `∀´)「イザベルちゃんのために、絶対にすぐに戻るからなぁ。
それから僕の心臓が止まる日まで、ずぅ~っとイザベルちゃんと一緒におったるでぇ。
もう神様に誓ったから、あとでイザベルちゃんが嫌って言っても聞かんよ?」
(‘д‘ )「わたし、リシャールさまをきらいになんてならないもん。おるすばんがおわったらず~っといっしょよ!」
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ヽ| ・∀・|ノ「…なるほど。方言を除けば、ほんとにイザベルが話してたこととおんなじだ」
( ∀ )『イザベルちゃん、もう15年以上も前のことなのによう覚えとったなぁ』
ヽ| ・∀・|ノ「そうそう、『リシャールさまが神様に誓って言ったことを裏切るはずないわ、だから明日になればきっと戻ってくるの!』
って度々言ってました」
( ∀ )『ははっ…でも結局、僕はイザベルちゃんを裏切ってもうた』
リシャールは両手で顔を覆ったまま俯いて、乾いた笑いを発した。
ヽ| ・∀・|ノ「…アイルランド遠征の帰りでしたっけ」
( ∀ )『…せや。国外追放しとったヘリフォードのヘンリー野郎が許可も得んと戻ってきよった。
ものすごい勢いで進軍してきてな、僕が海峡渡ってウェールズに着いたか着かんかくらいで「チェスターが陥とされた」
ちゅー報せが届いてな…』
ヽ| ・∀・|ノ「チェスターのあるチェシァ州は、リシャールさんがとても大切にしていらした土地だとイザベルから聞いてましたよ」
( ∀ )『おう、プリンシパリティ・オブ・チェシァに格上げしてな。
あすこの弓兵はものすごい腕の立つ弓術の名人揃いやから、僕も個人的に雇うてバリバリ活用させてもろうとったんや』
ヽ| ・∀・|ノ「でもヘンリー4世陛下、当時のヘリフォード公ヘンリーがチェスターを陥としてしまった…」
( ∀ )『ヘンリー野郎がまさかチェスターを陥とすなんて夢にも思わんかった。せやから、僕もうあかん!って思てな。
軍隊もその場で解散や。それにヘンリー野郎がフリントで会見しようっちゅーからそこまで行ったわけやけど…』
ヽ|;・∀・|ノ「えーと…ヘンリーさんは『リシャールさんのお気に入りの評議会議員を引き渡せ』、それから確か
『俺の王位継承権を認めるように』と要求なさったんでしたね。そうすればリシャールさんの身の安全は保障する、と」
( ∀ )『僕、怪しいなぁ思たんやけど。ヘンリー野郎が神かけて誓うっちゅーとったから、それを信じてフリントに行ったんや』
次の瞬間、リシャールは拳を固めて壁を殴りつけた。(が、なにしろ半透明なので殴るジェスチャーにとどまった)
ヾ( ∀ #)ノシ『したらフリント着いた瞬間にとっ捕まってな!僕、イングランドを出る時に最高級の馬に乗ってきとったのに、
それをひっどいのに取りかえられてそのまんまロンドンに行けって脅されたんやー!
ヘリフォードのヘンリー野郎はうまい事言って僕を騙したのや、神かけてっちゅー誓約を破ったんやぁ!』
リシャールは『ゴダーン!』とか『サクレ・ブリィユ!アンリ・ド・エルフォール、サクレ!!』とフランス(ボルドー)訛りと怒りを丸出しに吐き捨てた。
軽く説明を加えると、ゴダーンはガッ●゛ムのフランス語訛りで、サクレ・ブリィユ(一般的にはサクレ・ブリュー)は「ガッデ●」に準ずるフランス語の
罵り文句、そしてサクレはイングランド語のsacredとかそういう単語にあたるが、この場合は「聖なる」という意味よりも全く逆の「クソッ!畜生!」等
の間投詞として用いられることが多い。以上はみんなジー●アス英和大辞典の受け売りです。本当にありがとうございました。
ヽ|;・∀・|ノ(うーららぁ…リシャールさんめっちゃ怒ってるなぁ、ていうか当たり前だよなぁ…こういうだまし討ちされたら
多分僕でもキレるだろうし)
ヾ( ∀ #)ノシ『そんでロンドン着いた思たら、ロンドン市民のみなさんがゴミを片手にお出迎えや!』
ヽ|;・∀・|ノ「え、ゴミ?」
ヾ( ∀ #)ノシ『市民のみなさんはとっくに僕を見限っとったみたいでな!ヘンリー野郎にはまるで国王みたいにちやほや、
僕には腐った卵やら野菜に肉に動物の死体やら、果ては泥水にうん●こまで投げつけてきよったんやー!!』
ヽ|;・∀・|ノ「Oh...Sh●t!」
ヾ( ∀ #)ノシ『シットとかメルドってレベルちゃうで!国王様に向かってう●んこ投げるか、普通!?』
ヽ|;・∀・|ノ「いやぁ、少なくとも僕の国ではそんなことは…いやぁ、イングランドの国民って熱いっすね」
ヾ( ∀ #)ノシ『信じられんわ、僕がアイルランド行くときはおきばりやす~言うて送りだしたくせに!
あん時な、ロンドン市民はもうちょい恥を知ったほうがええと心の底から思うたわ!』
リシャールの顔は怒りですっかり灼熱していた。15年を経てなおあの頃の記憶は生々しいらしく、涙を流してこめかみに血管を浮き出しながら
手をじたばたさせ七転八倒身悶えているリシャールをオルレアン公は憐れみと同情とをこめた目で見つめた。
|ノ´∀`|ノ「リシャールさん、落ち着いてください!もう15年も前の話なんですよ、だからどうかお怒りを抑えて」
m9( ∀ #)『オルレアンの坊ちゃん育ちが訳知り顔をするんやない!お前なんかにあの時の僕のつらさ、悔しさ、惨めさは分からへん!』
ヽ|;・∀・|ノ「そ、それは確かに…そうですが、でも僕はイザベルからそのことに関しても聞いてました!」
Σ( ∀ #)『何やとぉー!イザベルちゃんがこの話を知っとるってどういうことやねん!』
ヽ|;・∀・|ノ「ロンドルにこっそり野次馬しに行った侍女から聞いたと言ってました」
( ∀ #)『あ゛ぁ゛ー!?その侍女はなんちゅーことをしてくれとんねん!旦那の惨めな有様をわざわざ見に行って
奥方に報告しにいくような薄汚い根性の召使いなんぞクビにせぇ!ていうか悪魔にさらわれてまえ、首切っていてもうたれ!』
ヽ|;・∀・|ノ「リシャールさん、頼むから落ち着いてくださ~い!もう15年も前のこと、Be Koolですよ!」
( ∀ #)『お前にとっちゃ15年も前のことかも知れへんが、15年前から時間が止まっとるこっちにとっては昨日のことみたいなもんやぁ!
あとKoolやのうてCoolやろー、イングランド語わからんなら無理して使うな、このニヤケようかん野郎!』
ヽ| ;∀;|ノ
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