フォザリンゲー城にて

ノーザンプトンシァのフォザリンゲー城に、ヨーク公リチャードとラトランド伯エドマンドが戦死したとの報せが入って数日が経った。
この城で夫の凱旋を待っていたヨーク公妃セシール・ネヴィルは代わりに入ってきた悲報に砕け散りそうになる心をなんとか押し隠し、
幼い三男ジョージと四男リチャードを迫りくるランカスター軍から守るための方策を自室にこもってあれこれと考え続けていた。


( ゚ー゚)「ブルゴーニュ…そうね、ブルゴーニュ公国に手紙を出してみましょう。フィリップ公は心の広いお方という評判だし」

<ヤーイ! オマエ ノ トーチャン マケイヌ デヤンノー!

(;゚ー゚)「でもブルゴーニュ家は昔ランカスター家の摂政公と同盟を組んでいたし…ヨーク家に対して友好的かどうかわからないわ。
     …同盟関係を解消したとはいえ昔の同盟者に敵対するわが家に味方してくださるかしら」

<チ、チガウモン!パパ ハ ユウカン ニ タタカッテ…マケイヌ ジャナイモンッ

<ナンダヨ、オマエ ノ ニイチャン ハ ニゲル トチュウ デ ミツカッテ コロサレタ ッテイウ ハナシ ジャナイカ。 マケイヌ イガイ ノ ナンダッテ イウンダヨ

<ネディニイチャン ヲ バカ ニ スルナァ! コノッ!

( ゚ー゚)Φ「ともかくあの子たちに手紙を持たせて、船の手配をしておきましょう。先に子供たちを向こうに上陸させたら
     フィリップ公も無下な扱いはしないはず。善は急げ!手紙を書いたらジョージとリチャードを呼んでこなきゃ」

<オマエ ミタイナ ドンクサイ ヤツ ノ コウゲキ ナンテ ヨケルノ カンタン ダモンネー! ドーセ オマエ ノ トーチャン モ ニイチャン モ ドンクサイ カラ ニゲオクレテ コロサレタンダ!

<パパ モ ニイチャン モ ドンクサクナンカ ナイモン!パパ ハ ユウカン デ ダレヨリモ ツヨインダ! ショウコ ニ パパ ノ ダガー ヲ モッテクルモン!


文末に署名を書き込み、手紙をくるくると丸めて封緘をするとセシール・ネヴィルは部屋を出て階段を上がり、ジョージの部屋の扉を叩いた。


m9( ^Д^ )「なーに、母上?オレたった今お勉強しようと…」

( ゚ー゚)「ああ、今日のお勉強はしなくていいわ。ジョージ、一回しか言わないからよく聞いてるのよ。
     すぐによそいきの服に着替えてお気に入りの服があったら全部まとめて持って行きなさい。
      一番仲のいい侍女や召使いも呼ぶこと。
     後で手紙を持たせるからお泊りの準備ができたら玄関で待つように!以上!」

m9( ^Д^ )「やった!お勉強しなくていいの!?」

( ゚ー゚)「うん、でもラテン語の本を忘れずにちゃんと荷物に入れていくようにね。
     あのこわ~い王妃様といっしょにランカスター軍がいつ攻めてくるかわからないからブルゴーニュにお世話になることにしたの。
     いつもみたいに遊びで旅行するんじゃないから向こうに行ってもしっかりお勉強しなさいね」

m9( ^Д^ )「ちぇっ!オレお勉強なんかやりたくねーっ」


舌打ちしてうつむいたジョージの頬をセシールは軽く引っ張った。


( ゚ー゚)「ジョージ、聞き分けのないことは言わないの。もう10歳のお兄さんでしょ?」

m9( ^Д^ >「……好きで兄ちゃんになったわけじゃねーもん。母上はリッチーばっか甘やかしてオレにばっかり怒るじゃん!
        リッチーが一番大事で、オレのことなんてどうでもいいって思ってんだ!」

( ゚ー゚)「そんなことないわ。お母さんはジョージもリッチーも同じくらい大事だと思ってる」

m9( ^Д^ )「ほんと?聖人さまに誓って?」

( ゚ー゚)「本当よ。ジョージにイングランドの聖人さまとおんなじ名前を付けたのだって、聖ジョージさまみたいに強くて
     立派な騎士になってほしいからなのよ。だから今はいい子にしてお母さんの言うことを聞いてね。
     私はブルゴーニュに行けないから、ジョージがお母さんの代わりにリッチーを守ってあげて」

m9( ^Д^;)「え!母上も一緒じゃないの!?」

( -ー-)「…ごめんね、私はここで父上の代わりに城を守らなくちゃいけないの。だから一緒には行けないわ」

m9( ^Д^;)「え…ええぇ~…」


足早にジョージの部屋を後にして階段を下りたセシールは、廊下に泥だらけの足跡が点々と続いているのを見て訝しげに眉間にしわを寄せた。


(;゚ー゚)そ「ああっ、廊下が泥だらけ!リッチーったらお外からそのまま中に上がってきたのね!」


足跡をたどってみると、ちょうどセシールの部屋から何かを持ち出したリチャードとはち合わせた。


(;´・Д・`)つ=||ニフ「あ」

((;゚ー゚)「…リッチー!」


リチャードはなんとダガーを握りしめていた。顔面蒼白になったセシールは慌ててリチャードに駆け寄り、彼の小さな手からダガーをもぎとった。


(#゚ー゚)「リッチー!パパの大切なダガーをどうしてこっそり持ち出したりしたの?危ないでしょ!」

(;´・Д・`)「お、おともだちに見せようと思って…パパはまけいぬなんかじゃない、りっぱでつよい人だったんだぞ~って…
       パパの使ってたダガーをみせれば、おともだちもパパのわるぐちをやめてくれるって思ったの」

(#-ー-)「……そうね、パパはイングランドじゅうの貴族の誰よりも立派で強い人だったわ。
      あんな精神薄弱な国王陛下よりもパパやエディのほうがずっと王位にふさわしかったわ、でもね。
      私がパパの思い出に大切にしまっておいたのを勝手に持ち出すのはぜ~ったいにダメ。
      もしリッチーが怪我をしたり、パパの形見を壊しちゃったりしたらどうするつもりだったの?
      そんなことする悪い子には今日の夕ごはんぬき!地下室で自分のしたことを反省しなさい」

(#゚ー゚)つ<´;Д;`))))ズルズルズルズル

ガチャン!!


~数時間後~

(ヽ´゙Д゙`)゚・。「びえええ!おなかすいたよぅう!」


普段なら夕飯の時間だが、セシールはジョージひとりを食卓に呼んでからそのまま自室へ帰ってしまった。


( ゚ー゚)「…あの人のことを思い出すと物を食べるのもつらくなってしまうわ。今日は夕飯は食べずに早めに寝ましょうかね」

( -ー-)Zzz…

(  Д )『おぉい、セシール…セシール、聞こえるかい…』


その頃、リチャードはセラーの中で暗闇に怯えながらしくしく泣き続けていた。


(ヽ´゙Д゙`)゚・。「ひぐっ、えぐっ、おなかすいたよぅ…ごめんなさいママァ、いい子になるから開けてよぅう!」

( ・ー・)つ『リッチー!ごはん持ってきたぞ~』

(ヽ´゙Д゙`)「あ、ネディにいちゃ…あれ?兄ちゃんいなくなったんじゃなかったの!?」

( ・ー・)b『気合いで此岸にやってきたのさ!弟の泣き声を聞いて心配しない兄がどこにいる』

(ヽ´゙Д゙`)「兄ちゃん、僕ママを怒らせちゃったの…」

( ・ー・)『だいじょーぶ、明日になれば母上も怒りをおさめてるよ。いま父上が夢枕に立って、リッチーを許してやってって言ってるから』

(ヽ´;Д;`)「ネディ兄ちゃん、ありがとう!」

( ・ー・)つ『ほら、ごはん。お腹すいてるんだろ』

(ヽ´・~;`)モギュモギュ


やっとのことで泣きやんでごはんを口に運ぶリチャードに、エドマンドは優しく暖かい目を向けている。


( ・ー・)b『よく食べる子はよく育つ!僕と父上の代わりに母上を守れる強い子になれよ!』

d(´・ー・`)「うん、僕がんばる!誰にも負けない騎士になるよ」

( ・ー・)づ(´・д・`)ナデナデ

ヽ(´・Д・`ヽ)「ネディ兄ちゃん!ありがとう、僕エディ兄ちゃんの次にネディ兄ちゃんが大好き!」

:;;::^ー^)ニコッ

Σ(´・д・`)「あ」

:;;::;;:ー^)ノシ『誰にも負けない強い騎士になれよ!兄ちゃんとの約束だ』

(´;д・`)「ネディ兄ちゃん!僕ぜったいに強くなるよ!ごはんも好き嫌いせず残さないようにする!」

:;;::;;:ー^;;:b『僕みたいに母上を悲しませないようにな!いい子になるんだぞ』

(´;д;`)「うん、わかった!」


~翌朝~

ガチャンッ

( ゚ー゚)「リッチー!昨日はひとりぼっちにさせてごめんね」

( つд‐`)つ「…マ…僕…、いい子に…なる…の…」

( ^ー^)「はいはい、いい子は早起きしましょうね。お腹すいてるでしょ、あったかいオートミールを持って来たわよ」

( つд゙`)つ「むにゃ…ううん、ごはんなら昨日…ネディ兄ちゃんが……」

( ゚ー゚)「え?」

(つ´・д・`)つそ

( ゚ー゚)「…ネディが?」

(´・д・≡・д・`)フルフル

(´・д・`;)「ネ、ネディ兄ちゃんはいなくなったんだもん、僕にごはんをもってなんかこれないよぅ!
       きっとネディ兄ちゃんの夢をみてたんだ!だから…」

( ゚ー゚)ニコッ

(つ゚ー゚(´-д・`)ギューッ

( ゚ー゚)「ううん、それは夢なんかじゃないわ。本当に来たのよ。あの子は一番弟思いだったもの」

(´・д・`)「…あのね、ママ。僕、ネディ兄ちゃんと約束したんだ。強い騎士になるって…
       兄ちゃんが言ってた。ママを泣かせるなって。だから僕、誰にも負けない強い子になるの」

( ゚ー゚)「…ネディったら…心配いらないわ、私はだいじょ…」

(つー゚)。ポロッ

(´・д・`;)「ママ!泣かないで、僕、ママを泣かせないって兄ちゃんに約束したんだ!」

(つー^)。「悲しいから泣いてるんじゃないのよ、ネディとリッチーが優しい子だからうれし涙が出ちゃうの。
       それに昨日はパパも来てくれたしねぇ…1人にさせてごめんって、子供たちを置いていって
       ごめんって何度も謝ってたわ。それから、リッチーを許してあげてくれってね」

(´;д;`)「マ、ママァ!」

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( ・ー・)『父上、そろそろあっちに戻ろうよ』

(´^Д^)『いやいや、戻るのはエディとジョージの顔を見てからにしたい』

( ‐ー・)『そだね、ジョージのところにも行って、それからエディにさよならを言っていこっかな…』

(´^Д^)ノ『いや、ネディ。お前は2人の様子をそれとなく見てやっておくれ。リッチーはいちばん小さいし
       ジョージだってまだまだお兄ちゃんがいないとさみしい年頃だろ』

( ・ー・)『そっかぁ。じゃあ僕はもうしばらくこっちに留まってるよ』




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